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魅力度最下位の茨城県が公式サイトでグレた件

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 事前情報が無ければ驚くに違いない、茨城県の公式サイト

公的機関の公式サイトはお堅く事務的なイメージで固められている。業務や提供情報内容、対象利用者を考えれば当然の話。ところが茨城県の公式サイト(10月27日時点)ではその常識を打ち破り、奇抜なビジュアルがトップページに踊り、話題を集めている。リーゼントを強調した典型的なツッパリヤンキーの男女二人組が「47位の県? 上等でございます。」と啖呵(たんか)を切っているのである。

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↑ 茨城県公式サイトトップページ。リーゼントヤンキーな宣伝隊長の綾部・渡辺両氏
↑ 茨城県公式サイトトップページ。リーゼントヤンキーな宣伝隊長の綾部・渡辺両氏

毎年調査集計と発表が行われている、ブランド総合研究所の「都道府県別地域魅力度ランキング」。2012年分ではかろうじて最下位を脱した茨城県だったが、2013年では再び最下位に下落。同県広報資料でも「都道府県魅力度ランクで、最下位が常連となっている茨城県」とあり、自ら常連組という認識を持つ。

↑ 都道府県魅力度ランキング(2013年)(ブランド総合研究所)
↑ 都道府県魅力度ランキング(2013年)(ブランド総合研究所)

元々同県では7月の時点で茨城県出身のよしもと芸人の二人、綾部祐二氏と渡辺直美氏を宣伝隊長に任命して「いばらき宣伝隊」を結成、同県の積極的なアピールに励んでいた。ところが今回「茨城県が2013年も魅力度最下位」の報を受け、今回トップページに登場することとなった。宣伝隊長である以上はと背広で正装をしつつも、「最下位上等」とばかりに啖呵を切り、自慢のリーゼントを突きだし、気合いをアピールすると共に、衝撃と笑いを公式サイトのトップから解き放っている。

また、トップページの「ヤンキー二人組」は少し時間を置くと自動的にスクロールされ、茨城県の魅力についてアピールする文章が表示される。そこには「日本一のメロンの生産地」「JAXAの研究開発の拠点」「超最高級和牛の常陸牛」などとポイントを挙げて茨城県の魅力を強調しつつ、「茨城県内で訪れたい思う観光地の第一位は『わからない・不明』。これだけ情報が発達した世の中で『知られてない』は、もはや魅力」「知られていないだけで実力はある。伸び代は、日本一」と、トップページの二人組に合わせたような、良い意味での開き直り的、かつセンスあふれる宣伝文句が躍る。俗にいう「面白真面目」的な香りすら漂ってくる。

ちなみにこちらが「ヤンキー二人組」の前のトップページ(10月13日時点、Waybackより取得)だが、ビジュアル的に美しくはあるものの面白みには欠ける。ましてや話題に登ることなど無かったであろう。精々「また47位だったのね」と、記憶の隅の隅に留められる位だ。

↑ 10月13日時点での茨城県公式サイトトップページ
↑ 10月13日時点での茨城県公式サイトトップページ

茨城県も先の震災で大きな被害を受けた県の一つ。復興が今なお懸命に続けられている。また昨年の放映を皮切りに人気を博し続けている「ガールズ&パンツァー」の舞台、大洗町も茨城県にあり、タイアップ企画で大いに盛り上がりを見せている。

「来場者にメンチを切るのはいかがなものか」との意見もあろうが、今回の風変わりで奇抜な取り組みは高く評価したい。少なくとも注目を集めさせる(しかもポジティブな意味で)ことには成功している。このアクションが功を奏し、茨城県の魅力をより多くの人が認知し、実感し、宣伝隊長二人の啖呵が意味あるものとなる結果が出ることを祈りたいものだ。

※今件記事はガベージニュース「魅力度最下位で茨城県の公式サイトがグレました」のYahoo!ニュース向け編集版になります。

※2013.10.28. 14:10 グラフを正しいものに差し替えました

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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