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上昇中だが今なお500円台…サラリーマンの昼食代事情2014

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ サラリーマンのお昼の友、コンビニ。独自厨房で出来立てのお弁当提供も増えてきた

上昇に転じるサラリーマンの昼食代

サラリーマンには「昼食代」は自分の小遣いの出費先、そして数少ない楽しみの時間を充足させる重要な要素として、注目に値する金銭的な要素である。テレビや新聞で見聞きする数々の経済的な指標以上に身近、そして生活に密着する、ウェイトの大きな金銭面での数字に違いない。そこで新生銀行が毎年定点観測的に調査・報告をしている「サラリーマンのお小遣い調査」の最新版(2014年6月発表)などを元に、そのサラリーマンの昼食代事情を、少し掘り下げる形で確認していく。

物価がほぼ横ばいで推移する中、サラリーマンの昼食代は今世紀に入ってから漸減。この数年間は500円台前半を維持している。「ワンコインランチ」(500円玉一枚で購入できる昼食。実際にはもう数十円必要)状態が継続中である。一方で昼食向けの各種外食・中食向け商品も値を下げており(一部ファストフードのレパートリーや、コンビニの安価弁当シリーズが好例)、サラリーマンの品質的昼食事情はかろうじてレベルが維持されている。

↑ サラリーマンの1回あたりの平均昼食代(弁当持参時をのぞく)(勤務日)(円)(-2014年)
↑ サラリーマンの1回あたりの平均昼食代(弁当持参時をのぞく)(勤務日)(円)(-2014年)

ここ数年に限れば漸減傾向のさなかリーマンショックで大きく減少、500円を切る可能性もあった。しかし、その後の震災の影響にも負けずどうにか500円は維持、2013年以降は漸増しているのが実情。

これを属性別に見たのが次のグラフ。

↑ サラリーマンの1回あたりの平均昼食代(弁当持参時をのぞく)(勤務日)(円)(2014年、属性別)
↑ サラリーマンの1回あたりの平均昼食代(弁当持参時をのぞく)(勤務日)(円)(2014年、属性別)

以前は属性別では未婚の方が既婚よりも昼食代は上だった。ところがこの数年では逆転現象が起きており、今年では41円の差がついて既婚者の方が高い結果が出ている。特に「既婚子なし」の額が大きいことから、共働きにより多少は昼食代に余裕が出ているとも考えられる。つまり子がある場合は養育費などが関係し、多少削られる次第である。

世代別ではこづかい額が一番低い40代でやや凹みがあるが、大よそ歳を経るほど昼食代も高くなる。付き合い上の問題や、舌が肥えるのが原因。特に50代の614円は大きく突出している。他方20代は唯一500円を割り込み、やや厳しい状態。

昼食の内訳は!?

昼食そのものの内訳は次の通りで、持参弁当を食する場合がもっとも多く、購入弁当が続いている。

↑ 平均的な一週間の昼食(勤務日)における昼食回数の内訳(-2014年)
↑ 平均的な一週間の昼食(勤務日)における昼食回数の内訳(-2014年)

これを直近2014年分・上位三項目について、主要属性別に見たのが次のグラフ。

↑ サラリーマンの昼食内訳(2014年、一部)
↑ サラリーマンの昼食内訳(2014年、一部)

未既婚別では未婚者は外食・購入弁当が多く、持参弁当が少ない。既婚者は持参弁当が未婚者の2倍近くで、外食や購入弁当など費用がかかるものが少なめ。「既婚者の方が昼食費は高い」は、「持参弁当で節約する必要が無い、家計に余裕がある世帯が多分に含まれている結果」が一因だと考えられる。無論持参弁当を利用する理由は「節約」だけでなく、配偶者に愛情を感じてほしいこと、健康志向など他の理由もあるが。

また今件昼食代は「弁当持参時を除く」が前提。持参弁当と外食・購入弁当を交互に利用する事例の場合、後者の時には少々贅沢をしてしまう心理が働くのだろう。

一方、既婚者で子供のあるなし別では、子供がいる方が持参弁当率がやや高め。子供向けの弁当を作る際に一緒に配偶者用のも作るのが常であることを考えれば、容易に理解はできる。

「昼食代は500円台」「持参弁当は既婚者の方が多く4割近く」。現在のサラリーマンの昼食事情をまとめるとこの二言になる。昼食向け商品の価格漸減もあるが、10年ほど前の600円~700円台と比べると、ややさびしい状況。

この数年は底打ち状況にも見え、復調の兆しが見える。今後はさらなる増額を果たし、サラリーマンの昼食にもこれまで以上の選択肢をもたらし、彩りを添えてほしいものだ。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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