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中国江西省のレストラン、従業員が「歩きスマホ」で厨房が爆発

佐藤仁学術研究員・著述家
(People's Daily 人民日報より)

中国の江西省のレストランで、女性従業員がレストランの厨房で「歩きスマホ」をしていて、プロパンガスのタンクにつまずいてしまい、プロパンガスが倒れてバルブが壊れて、厨房でガスが噴出して爆発するという大惨事が起きたようだ。女性従業員と調理師が火傷をしたようだが、死者は出ていないようだ。以下がそれを報じるニュースである。

中国では日常的な「歩きスマホ」

中国では毎年4億台以上のスマホが出荷されており、2015年も1年間でのスマホの出荷台数は4億3,000万台以上で、いまだに増加している。そして都市部や若者にはスマホがほぼ全員に行き渡っており、誰もがスマホを持っている。レストランの厨房でも爆発前にガスが噴出している時に確認しに来た従業員も手にはスマホを持っていた。どんな時でもスマホは手放せないのだろう。

スマホの普及にともなって、中国ではもはや「歩きスマホ」は日常的な風景になっている。日本以上に「歩きスマホ」は深刻であり、もはや線路に落ちたり、車と接触しても、大事故にならない限りはニュースにはならない。2014年くらいまでは上海で通勤客が「歩きスマホ」をしていて、線路から落ちたというのが中国でもニュースになっていたが、最近では「歩きスマホ」をしていて、排水溝に挟まってしまい出られなくなるとか、川に落ちて死亡するくらいのインパクトがないとニュースにならない。今回は久しぶりに「歩きスマホ」が引き金になったインパクトのあるニュースだったのだろう。

対岸の火事ではない「歩きスマホ」

中国では「歩きスマホ」が日常的になっており、小さな事故や転倒、衝突などは多発している。「歩きスマホ」をしている時には、視線はスマホの画面に集中しているため、視界が狭くなり、周りへの注意力が散漫になってしまい、周囲や足元に気が付かないことが多く、それが事故や転倒の原因になる。それは中国人でも日本人でも変わらない。決して対岸の火事ではない。命をかけてまで「歩きスマホ」をする必要はない。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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