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電通「カジノのイメージ改善の為に、今後はカッシーノと呼称しよう」

木曽崇国際カジノ研究所・所長
(写真:アフロ)

電通さんが妙なことを言い出して、ナンジャソリャと思ったわけですよ。

電通からの提言 「 カッシーノ」によりカジノのイメージを変えよう!

「カジノ」という言葉のイメージは、昨今の賭博依存症に関する調査結果や野球賭博、バドミントン選手の裏カジノ出入りなどによって悪化しています。[…]

そこで、合法化を大きな転機として、我々は「カッシーノ」という用語を用いることを提唱いたします。「カジノ」という言葉が醸し出す、これまでの暗い負のイメージから脱皮するだけでも新鮮であると考えられます。と同時に、国が目指す全く新しい事業であることを国民によりわかりやすく、かつ親しみやすい言葉として育てていきたいと考えます。

出典:http://casino-ir-japan.com/?p=13015

そもそも「カジノを含んだ観光商業施設」の意を表す統合型リゾート(IR)という概念すらも未だ社会認知が為されておらず、私自身は一般向けにはなるべく「カジノ合法化および統合型リゾートの導入」とセットで利用しているワケですが、そこに輪をかけて今度はカジノではなくカッシーノと呼びましょう、と。「カッシーノ合法化および統合型リゾートの導入」とか、もはや何を言ってるのかワケわかりませんわ(笑

何で電通さんがこんな妙チクリンな「提言」を始めたのかなと少し気になって調べてみたところ、特許庁からこんな公告が出ているのを発見してしまいました。「まさか」と思って一応検索をかけてみただけなのですが、出て来るもんですねぇ。

[商願2016-48772]

商標:カッシーノ /

出願人:株式会社電通 /

出願日:2016年4月28日 /

区分:41(娯楽施設の提供,娯楽施設に関する情報の提供,興行の企画・運営又は開催,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,音楽の…

出典:https://twitter.com/trademark_bot/status/735897292687867904

一方で「合法化に向けたイメージ改善の為に、今後はカジノではなくカッシーノという呼称を使いましょう」とキャンペーンを張っておきながら、裏では自社でその商標を押さえるとか一体どんなビジネスモデルですか(笑 電通さんに乗せられて国際カッシーノ研究所を名乗ったら、危うく商標使用料を請求されるところでした。くわばらくわばら。

正直、個人的にはカジノのイメージ云々というのはそもそも「呼び名」 の問題ではないのでは?と思うワケで、私自身は今後とも「国際カジノ研究所の木曽」として地道にカジノの正しい認知と普及に努めて参りたいと思います。

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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