このままでは裏金の温床?大谷翔平の契約条件を抑制するMLB新労使協定での海外FA契約条件の上限
大谷翔平が巷噂されているように来季オフにポスティング移籍を試みると、MLBの新労使協定が契約条件に大いに影響を与えそうだ。
当初は最大で3億ドルとも噂されたが、新協定下では大谷は年齢制限(25歳未満)に引っかかり、海外FA獲得時の契約金上限制限の対象となり、総額せいぜい900万ドル(それでもエラい大金だが)のマイナー契約が関の山なのだ。
しかし、こんな抜け道もある。サイバー系サイト「ファングラフズ」は、当初はマイナー契約でも早期に昇格しその潜在力を遺憾なく発揮すれば、年俸調停権を得る前に大型長期契約で囲い込まれる可能性もあると、報じている。
確かにその通りだ。しかし、これを発展させて考えると、ポスティングを経て複数球団が大谷と交渉する(少なくとも現状のポスティング制度では、入札上限額に複数の球団が達した場合は、そこから先の選手との交渉は上限金額を提示した全球団が可能だ)際に、表向きは規定通りの低額(あくまで相対的な意味で)のマイナー契約を結んだとしても、同時にメジャー昇格の暁には長期高額契約に移行することを約束しておく可能性は十分ある(これは、一般論として仕組みの問題点を述べているつもりだ。大谷が裏契約を結びかねないと言っているのではない。誤解なきよう)。海外FAに費やせる金額が球団により若干の差異があるとは言え、本来のその選手の経済価値が規定上限金額とかけ離れている以上、そうでもしない限り契約交渉の競争が起きようがない。
本来、自由競争と契約条件への上限設定は概念として両立しない。上限を設定するなら、従来のように超過を認め、その際はペナルティを課すこととすべきだ(今回から、超過自体が認められなくなった)。でなければ裏金、裏条件の温床になってしまう。
新労使協定での本件に関する改定は、現状のポスティング制度を前提に考えると、まちがいなく改悪である。来季オフまでに改定されるはずの新制度において、入札上限を撤廃するなどにより、交渉権を1球団に限定すべきだろう。