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スキー王者ノルウェーの強さの秘密は?レジェンド葛西紀明と、現地で特訓した小林由貴が語る

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員
ノルウェーはなぜスキーメダルを量産する? Photo:Asaki Abumi

「スキー板を履いてうまれてくる」といわれるほど、スキーが大好きなノルウェー人。夕方、仕事や学校が終わった後には、楽しそうにスキーをしにでかけたり、大雪の日に交通機関がストップすると、クロスカントリースキーで通勤する人が現れるほどだ。

冬季オリンピックでメダルを量産しているのもノルウェーで、その数はなんと329個。人口約520万人という小さな国でありながら、金メダル118個、銀111個、銅100個を獲得している(1924~2014年 参照Wikipedia)。

ウィンタースポーツにおけるノルウェー人選手の強さの秘密は、なんなのだろうか?彼らを間近に目にしている2人の日本人選手に聞いてみた。

「チームの結束力がすごい」

ホルメンコーレンメダルを受賞 Photo:Asaki Abumi
ホルメンコーレンメダルを受賞 Photo:Asaki Abumi

スキージャンプの葛西紀明選手(土屋ホーム)は、ノルウェーでおそらく最も有名で人気のある日本人。葛西選手を尊敬しているスキー選手や国民は数多い。

5日には、スキー界で最も権威がある賞のひとつといわれているホルメンコーレン・メダルを授与された。

葛西選手は、ノルウェーの強さの秘密は、日本人以上の「チームの結束力」にあるという。

「チームの結束力はすごいと思います。日本人とはぜんぜん違いますね。どこの国よりも一番結束力があるから、団体戦も強い。個人競技なんだけど、みんなで頑張ろうという気持ちをだしていますね」。

大勢で訓練するメリット、チームワーク力が抜群

2014年オスロ・スキーショー、小林(右) Photo:Yuka Nishida
2014年オスロ・スキーショー、小林(右) Photo:Yuka Nishida

クロスカントリーの小林由貴選手(岐阜日野自動車SC)は、スキーの聖地オスロで現地特訓を経験した数少ない日本人だ。2014年に5か月間、2015年に3か月間、IL Hemingという有名な地元のスポーツクラブに所属していた。

小林選手も、ノルウェーチームの結束力は、クロカン界でも素晴らしいと語る。

「日本チームでは、個々でトレーニングすることが多いのですが、ノルウェーでは大勢で、トレーニングの質も高め。クロカンだとワックスの良し悪しが結果に左右するので、ワックスチームのチームワークはいつも素晴らしいと思っていました」。

また、小林選手は、スキーに限らず、日本以上にサイクリングやジョギングなど、スポーツが国民生活に自然と浸透していることも、ノルウェーの強さにつながっているかもしれないと語る。

スキーと雪は、ノルウェー人の心であり歴史

葛西選手にメダルを授与したスキー連盟にも、強さの理由を聞いてみた。

「ノルウェーではスキーは移動手段でもあったんだよ、南北で距離が離れていて、家と家も離れていた。それに、ノルウェーは雪と冬に恵まれていて、国民は訓練や競争が大好きだからね。スキーというのはノルウェー人の心なんだよ」と語るのは、事務総長アシスタントであるステイナル・エイダーケル氏。

「1905年以降は、王室がワールドカップをみにくることが伝統になった。今週末のワールドカップにも国王が観戦しにくるよ。雪とスキーは歴史の一部なんだよ」と、事務総長のエイリーック・エイデ氏は付け加えた。

ハフィントンポスト日本版

「王妃が王宮前でスキー!国民との距離が近いノルウェー王室、その魅力とは」

「びっくり!ノルウェー人の冬W杯の楽しみ方が想像以上にすごすぎた」

Text:Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信15年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。ノルウェー国際報道協会 理事会役員。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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