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海外から見た日本サッカー。アメリカ在住の“サッカー大好き”ユーチューバーに印象をズバリ聞いてみた

浅野祐介OneNews編集長
[撮影]樋口涼

アメリカはシアトル在住の3人組ユーチューバー、カリスマブラザーズ。そのメンバーの一人、ジョージくんが“大のサッカー好き”という話を聞き、日本のサッカーについてのインタビューの場を持つことに。Jリーグから日本代表まで、エンターテイナーとしての視点を交えつつ、大いに語ってくれた。

――かなりのサッカー好きとうかがいました。

「父がサッカーをやっていて、子供の頃、親からは『スポーツをやるなら何でもいいよ』と言われていたんですが、小学生のときに野球はサインが多くて覚えるのが無理だと思って、サッカーを始めたのがきっかけです(笑)。部活は中学までなんですけど、僕らが中学生のときって、サッカーがめっちゃ盛り上がっていたんですよ。ヨーロッパにスター選手がごろごろいて、もちろん今もいるんですけど、当時は“クラシックレジェンド”みたいな選手がいっぱいいて、『(デイヴィッド)ベッカムの白いスパイクがカッコイイ』とか、一気にはまりました。2002年の日韓ワールドカップももちろん衝撃でしたし、あとは2005年のミランとリヴァプールのチャンピオンズリーグ決勝を鮮明に覚えていて、あの辺でサッカーが大好きになりましたね。ロナウジーニョが出てきて、『神、来た!』みたいな(笑)。自分の中では、一番おもしろい時期だったと思っています。(リオネル)メッシがまだ背番号30を着けていた頃ですね」

――リュドヴィク・ジュリがいたころですね。

「ジュリ!僕、ジュリのユニフォーム着てました。2006年のクラブ・ワールドカップを観に行ったとき、『ユニフォームを買わなきゃ』と思って、ジュリのユニフォームを買ったんです。ロナウジーニョに魅せられた中学時代でしたね。本当に別格でした。最近バルサのアンバサダーに就任しましたよね。あれだけいろんなクラブを回っても、最後はバルサに戻ってくるんだなって。僕、『FOOT×BRAIN』をよく見るんですけど、あの番組が大好きで、(MCの)勝村(政信)さんが、『やっぱりロナウジーニョはすごい!』と言っていて、僕も同感って感じです(笑)。『FOOT×BRAIN』の“ちゃんとした走り方”、4スタンス理論とか、僕、家でやってますから。友だちに指を引っ張ってもらって(笑)。僕、“イチロー型”だったんです(笑)」

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――サッカーをプレーする頻度はどれくらいですか?

「週に二回、サッカーをやっています。日本人のチームで4年くらいやっていて、パフォーマンスを上げたいから『FOOT×BRAIN』にたどり着くんです(笑)。“一ミリ”でもうまくなりたいから(笑)。サッカーのためにジムにも通っています」

――ポジションは?

「今のチームでやっているのは、インドアサッカー、6人制なので、センターバックみたいなポジションですね。僕、ボランチはできないんですよ。うまくないから。囲まれると無理なので、サイドか一番後ろです。体が小さいので、体を当てられると勝てない。だから、相手の視界の及ばない位置にいる、インターセプト型ですね。結果、相手をキレさせる、みたいな(笑)。そんなプレーばっかりしていますね」

――アメリカのサッカー熱はいかがですか?

「確実に上がっていると思います。(シアトル)サウンダーズの人気は本当にすごくて、僕の家の近くにサウンダーズのホームグラウンド、クラブハウスがあるんですけど、とにかく施設がすごい! ピッチが10何面とかあって、そこで夏に8人制のサッカーとかリーグサッカーができたりして、サッカー人口は多いと思います。ただ、やっぱりアメフト人気に押されているところはあると思いますね。西海岸とかニューヨークはMLSがすごく盛り上がっているんですけど、遠征でサウンダーズが地方にいくと、あまり立派じゃないスタジアムで試合をすることもあります。決勝とかはすごい人気ですけどね。あっ、今日、サウンダーズのユニフォームを着てくればよかったですよね。何をやっているんだ、オレは……」

――今後のポテンシャルはどう思いますか?

「めっちゃ、あると思います。アメリカって、エンターテインメントに“本気”じゃないですか? MLSもかなり本気だと思うんですよ。JリーグとMLSだと、MLSのほうが勝っちゃうんじゃかいなって思います。サウンダーズを見ていると、そう感じますね。本当に盛り上がっていて、うるさすぎる応援、“ノイズ”が有名なんですよ。」

――海外の人と一緒にプレーしてみて違いを感じることはありますか?

「海外の選手は、特に南米の人って戻ってこないですよね(苦笑)。でも、最近、海外の選手とうまくやるコツを覚えました」

――コツは?

「褒める。サブで交代したときに『なんで戻ってこないの』って言うとすねるんですけど、『オレはおまえみたいに才能もないし、いい体もしてないから戻ってきてくれ』って言うと、すーっと戻ってくるんですよ。『よし、これだ!』と思って(笑)」

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――海外から見た日本サッカーの印象を教えてください。

「環境的にあまり見られないところはありますけど、スカパー!のYouTubeチャンネルでゴール集とかは見ています。昔、見ていたころの記憶でアメリカに行っているので、今、その間が抜けて見ているので、Jリーグはすごい進化だなって感じています」

――昔っていうのはいつ頃ですか?

「浦和レッズにワシントンがいた時代です。永井(雄一郎)選手がいて、長谷部(誠)選手が17番を着けていた頃です。その頃でとまっていたので、そこから比べると、今は本当に『うまい!』って思いますね。最近は見る機会が増えてきました。日本人として、『Jリーグを見ないとな』って気持ちはあるんですよ。アメリカにいると、日本人の価値みたいなもので自信がつくのと、サッカーをやっていても、『日本人だから日本の戦い方を』という気持ちはやっぱりありますし。日本を応援していますよ。国として」

――日本代表の試合はいかがですか?

「全試合、見てます。ジローと全部、見てます。ただ、アメリカだと試合の時間帯が深夜なんですよ……。だいたい。夜中3時くらいに見ています」

――W杯予選の日本代表の戦いぶりはどのように感じていますか?

「惜しいなって思います。代表だとなかなかフィットしていないように感じますけど、香川(真司)選手はもっともっとできるって思いますし、本田(圭佑)選手だよりの部分は強いかなと。今は清武(弘嗣)選手がいいですよね。ただ、一番期待してるのは、大迫(勇也)選手。僕、『大迫、半端ないって』の世代なんですよ。年齢が一緒で。鹿児島城西のときの大迫選手を見ているので、当時から、将来は日本代表に絶対に入るだろうなって思っていて、実際に日本代表になってすごいなと。ただ、もう少し“マッチョ”でもいいんじゃないかなって思います。ちょっと細いというか、ポストプレーもめっちゃうまいんですけど、もう少し“マッチョ”でもいいかなと。自分が海外にいるので、“マッチョ思考”なんです。草サッカーのリーグなのに(ズラタン)イブラヒモヴィッチみたいなヤツいますからね(笑)。『誰目線だよ!』って思われそうですけど(苦笑)。いちサポーターの目線として、大迫選手が岡崎(慎司)選手に対抗して9番を背負うようになったら、日本はもっと強くなるかなって思います。」

――Jリーグは新規客の集客が常に課題になっています。アメリカのスポーツと比べてどう感じますか?

「アメリカって、ワシントン州とかカリフォルニア州とか、街への愛着がすごいんです。ワシントン州に住んでいたら『シアトル・サウンダーズでしょ』みたいな。でも、日本って、そこは微妙じゃないですか。東京だったらFC東京のはずなのに、六本木ヒルズのあたりにFC東京の旗があるかといえばそんなことはないし。シアトルだと、街中にサウンダーズのフラッグが飾ってあって、日本では普段から目に触れるところにフラッグがあるような文化はないように感じますね。スタジアムのそばにはありますけど、ここがどこをサポートしている街なのかっていうのはわかりづらいところがありますよね。アメリカでは、行くところの至るところにフラッグがある。そこは違うかなと。あと、アメリカの場合、州ごとにスポーツのチームがいくつかあって、シアトルにもシアトル・マリナーズ、シアトル・シーホークス、そしてサウンダーズの3つがあって、サウンダーズの試合がないときはシーホークス、シーホークスの試合がないときはマリナーズみたいな感じで、チームが州の中で回っているようなイメージがあって、それがスポーツの発展の要因のように感じます。常に街のチームを応援して、いつでもスポーツを楽しめる環境がアメリカはある。そう感じます。たとえば、スポーツショップに行くと、『シアトルチームショップ』なんですよ。シアトルのあらゆるスポーツのグッズがあって、みんなで街のチームを応援しようという空気があります」

――なるほど、違いはありそうですね。ちなみに、ユーチューバーは個性的な方が多いですが、サッカー界で注目している個性的な選手はいますか?

「ヘーレンフェーンの小林(祐希)選手は注目しています。ジュビロ出身というのも渋くていいし、大成するかどうか、楽しみです。彼の動向がすごく気になってます」

――ジュビロ時代、名波(浩)さんが指導してますよね。小林選手がふてくされたときに「小林集合!」みたいなこともあったようです(笑)。

「それいいですね(笑)。自分はサッカーではすぐキレるので、『ジョージ集合』とか、いいかもしれないです(笑)。僕、倒されたらすごくアピールするんですけど、以前、日本でそれをやったら、後で相手にすごく謝られてしまって(苦笑)。『こっちこそごめんなさい、いつものあれなんで』って……」

――サッカー選手と対談するとしたら、どんな話を聞きたいですか?

「同世代の選手だったら、どういう考え方を持っているのかを聞いてみたいです。自分もユーチューバーとしてはプロですし、ストイックさは共通だと思うので、サッカー選手がどんな考えを持っているのか、特に同世代の選手、大迫選手とか、あとは同世代じゃないですけど、本田選手の話も聞いてみたいですね。それから、柿谷(曜一朗)選手とか山口蛍選手とか。怖いですかね?」

――全然怖くないですよ(笑)。ベースが大阪人だし、人柄はすごくいいですよ。

「山口蛍選手はマジで好きです。プレー集の動画が少ないのが不満です(笑)。あのポジション、大好きなんですよね。本当に、サッカーに対する向き合い方、仕事への向き合い方、こだわりを聞いてみたい。自分も頂点じゃないので、頂点に向けてのストイックさを聞いてみたい。毎日の努力をどう考えているのか聞いてみたいですし、あとはシンプルにサッカーを教えてほしいですね。宿題を出してくれたら、めっちゃ練習します」

――ボランチの選手の海外挑戦は難しいところもありますよね。

「あのポジションは、海外では、でっかくてうまくて、何でもできて、でないと難しいですからね。(ポール)ポグバみたいな。あとは“マケレレ最強節”ありますよね。それから(ジェンナーロ)ガットゥーゾ、大好きです。(クロード)マケレレ、(パトリック)ヴィエラのフランス代表も最強でしたよね。あのときのフランス代表はやばかった。ちょっと昔だと(ディディエ)デシャンがいて、フランスはいいボランチが多いですね」

――確かに、懐かしいですね。ちなみに、サッカー選手とのコラボはいかがですか?

「サッカー選手のルーティンみたいなのは気になりますね。試合に臨むまでどうしているのか、それを映像で撮らせてもらえるならうれしいですし、トレーニングも体験してみたい。僕は『プロフェッショナルの流儀』も大好きで、プロの人から少しでも何かを盗むっていうのが大好きなんです(笑)。あとは長友(佑都)選手も好き。そう言えば、長友選手のものまねをする橋本まさを(アモーレ橋本)さんとすごく仲良しで、よく一緒にご飯に行ったりしていました。最近はイタリアに行っているのであまり会えないですけど、長友選手の公認の芸人みたいになっているし、すごいなと(笑)。まさをさんにはとてもお世話になっていて、MCとかやってもらったりもしています。つかみが完璧なんですよ。『僕らより目立つのやめてもらえますか』ってくらい(笑)」

――日本の「ユーチューバー・ベストイレブン」を組むとしたら、どのような顔ぶれになりますか?まず守備を任せるなら?

「それ面白いですね!守備は、瀬戸弘司さん、Kazuさんじゃないですか。あそこに動画を作らせたら、すべることない、みたいな」

――中盤でゲームを作るのは?

「若手なら水溜まりボンドじゃないですかね、司会とかもやるので。パスとか出しまくって。あとは、おるたなChannelとアバンティーズが両サイドで切り込む。左サイドはカリスマブラザーズですかね。FWはHIKAKIN&はじめしゃちょーでスーパーゴールを決める、みたいな。GKはジェットダイスケさんにどっしりかまえてもらって(笑)」

――強そうですね(笑)。そう言えば、以前、背番号6の日本代表ユニフォームを着ている目隠しPKの動画を拝見しました。背番号のエピソードがあれば教えてください。

「あれは内田(篤人)選手だったんですよ。もともと僕がサイドバック出身で、僕の時代はサイドハーフでしたけど、サイドバックはお手本というか好きな選手がたくさんいて、内田選手も大好きです。6番ってサイドでもあるけど、ボランチとかセンターバックでもいけるじゃないですか? そういうの好きなんですよ。でも、技術がないから、7番、8番、9番、10番、11番は着けられない。控えめの最大のツッコミが『6』みたいなイメージです。どう言えば、今回、日本人チームのユニフォームを新しくしたんですけど見ます? (画像を見せてもらう)その背番号も『6』にしました。『サムライ』っていうベタなチーム名なんですけど(笑)。メーカーはアンダーアーマーです。うちのチームリーダーが浦和レッズを大好きなので赤にしました」

――カリスマブラザーズのファンサイト「CBF」は、ブラジルサッカー連盟(CBF)の略称と奇しくも同じです。ブラジルサッカーとの親近感はあったりしますか?

「親近感はあります。昔仲良くしていた友達がブラジル育ちで、普段から『ブラジル、ブラジル』ってすごく言ってて、だから、僕、『ブラジル』のスペルがポルトガル語だと『S』なの知ってるんですよ(笑)。そういうきっかけもあって、ブラジルW杯のときもブラジルを応援していたし、やっぱりブラジルのサッカーっておもしろいじゃないですか。たまたまですけど、親近感はかなりあります」

――ブラジル人選手のプレーの印象は?

「DFなのにすごく足元がうまかったりしますよね。ヒールリフトしちゃうとか。(オリヴィエ)ジルーみたいな選手がいるんですけど、シュートがえげつない(笑)。あいさつは『オブリガード!』って言ってます。毎週、水曜が日本人のチームで、金曜がドロップインっていう、日本でいう個サルなんですけど、南米、ロシア、ヨーロッパなど、いろんな国々の方と同じチームでやっているので面白いです。スタイルがやっぱり違いますね。総じて思うのは、日本人は勝負事の最後の2分とかで手を抜くなってことです。勝ちにストイックじゃないなと、なんとなく感じてしまうことはありますね」

――では最後に、歴代のベストイレブンを選んでいただきます。

「え〜〜それは難しい。GKは(マヌエル)ノイヤーです。あっ、でも、勝てるチームなのか魅せるチームなのかで変わってきますよね」

――では、魅せるチームでお願いします(笑)。

「GKはノイヤーで。最終ラインは4バックで、サイドバックは左がロベルト・カルロス、中央が(リリアン)テュラムと、パートナーは……やばっ、テュラムのパートナー決めって、こんな楽しい話あります(笑)。『全員、跳ね返すぞ!』って気持ちをテュラムで表現したい。パートナーは、ファビオ・カンナヴァーロ、いや(パオロ)マルディーニで。右サイドバックはセルヒオ・ラモスですね」

――前線はどうですか?

「FWは(ロベルト)レヴァンドフスキが今は一番好きかな。フォーメーション、ボランチを決めちゃいますね。1ボランチはポグバ。こいつ一人で二役くらいやれるんで。う〜ん、シェフチェンコ入れるなら2トップかな……やばい楽しすぎる(笑)。中盤の右は本田選手ですね。日本人として、日本人選手は入れておきたい。それから、左はロナウジーニョ。シェフチェンコとクリスティアーノ・ロナウドとか見てみたいですよね。でも、クリロナは外しておこうかな。『クリロナ入れたら勝ちじゃん』ってなるので(笑)」

――妄想が止まらないですね(笑)。

「はい(笑)。真ん中のベッカムも見たい。真ん中もできますよね?」

――2枚目で、本田、ロナウジーニョと入れ替わりながらいけますね。

「あとはFWの2枚、ここ最近だとネイマールとかもありですよね。(ティエリ・アンリ、デニス・ベルカンプ、パトリック・クライファートとか、ロナウドとかいろいろあって……)イヴラヒモヴィッチとフィリッポ・インザーギにします。イヴラがタメを作って、その間にベッカムからインザーギ!やばいっ、サッカーが好きすぎる(笑)」

と……話は尽きず、当初、45分程度の予定だったインタビューは倍の90分に。“次回”を約束し、終了となった。

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インタビューから数日後、ジョージくんが現地でのプレー時の写真を送ってきてくれた。スポーツの本場である「アメリカからの視点」、そしてエンターテイナーの視点、日本サッカーの発展につながるヒントは次回以降のインタビューでも見つかりそうだ。

OneNews編集長

編集者/KKベストセラーズで『Street JACK』などファッション誌の編集者として活動し、その後、株式会社フロムワンで雑誌『ワールドサッカーキング』、Webメディア『サッカーキング』 編集長を務めた。現在は株式会社KADOKAWAに所属。『ウォーカープラス』編集長を卒業後、動画の領域でウォーカー、レタスクラブ、ザテレビジョン、ダ・ヴィンチを担当。2022年3月に無料のプレスリリース配信サービス「PressWalker」をスタートし、同年9月、「OneNews」創刊編集長に就任。

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