『悪いやつら』で全韓国の女子がメロメロ!色気ダダ漏れのNo.1俳優ハ・ジョンウ
こんにちは、渥美です。今日も筋肉が好きです。
そういうわけで、韓国映画『ベルリン・ファイル』も楽しみましたー。ベルリンを舞台に描く、将軍様の隠し財産を巡る陰謀、そこに巻き込まれた孤独なスパイの運命は!? みたいな作品です。今回はそのスパイを演じた、人気・実力ともに今の韓国でNo.1のスターに注目したいと思います。
その名は、ハ!
ジョン!
ウ!
こんな風に紹介する必要は全くありませんけど、ま、面白いんで。
てな感じで、ハ・ジョンウです。『ベルリン・ファイル』は言わば韓国版『ボーン・アイデンティティ』で、アクションが本気です。特にラスト、悪役と取っ組み合う場面では、野っ原なのに、なぜ?と思うような場所に大きな岩が現れ、そこに背中から落ちたりして、やめてやめて身体の堅いところを堅い場所に打ち付けるのは~!って気持ちになります。まあよう考えたら岩じゃなくて発泡スチロールかもしれませんが、見てる間はそんなこと微塵も感じさせない本気ぶり!ハ・ジョンウの筋肉ボディももちろん完璧です。ヒロインが上半身裸のハ・ジョンウに、へったくそな包帯を無駄にまくシーンとかもあります~!
……と言いながら、すでに一部地方では公開が終わってます。だから『ベルリンファイル』はDVDでね!それでも「やだやだ、ハ・ジョンウを劇場で見たい~」という方、ご安心を。31日から彼の別の作品が封切りになります。ハ・ジョンウを大ブレイクさせた2年ほど前の作品、『悪いやつら』です。
あららら、コワモテ。そうです、やーさんですー。でも怖くないよー、笑えるし、家族の物語でもあります。
舞台は'80年代から90年代にかけての釜山。原題は『犯罪との戦争』と言うんですが、これ'90年のノ・テウ政権の暴力団掃討作戦のこと。主人公はケチな汚職でクビになった元公務員チェ・イクヒョンと、ハ・ジョンウ演じる小さな暴力団の若き組長チェ・ヒョンベ。たまたま出会ったふたりは遠縁の親類で、口八丁手八丁でお調子者のイクヒョンは、そこを糸口にヒョンベとの信頼関係を築いてゆきます。
これに気を良くしたイクヒョン、家系図を頼りに検事やら警察署長やら官僚やらあらゆる有力者を手繰り寄せ、金をつかませて悪事をもみ消し利権に食い込み、ふたりは釜山でのし上がっていくわけです。
「俺のじいちゃんの兄弟の従兄弟の息子が検事やってるからさ、不起訴にできちゃうぜ~」ってぐらいのコネは、日本なら「それほぼ他人だろ!」って感じですが、家柄や本貫(父方の血族)を重んじる韓国は、特にこの時代、それが通用しちゃう世界だったのかもしれません。
演じるチェ・ミンシク(『オールドボーイ』)がこれまた芸達者で、笑顔で札束ばら撒いて、裏で「タダメシ食いやがって」と愚痴るケツの穴の小ささ。サイコーです。賄賂として準備するのも「純金製のヒキガエル3匹セット」とかで、もらったほうも大困惑、オッさんそれどこに飾れっていうんだよ!と脳天にチョップ入れたくなります。
こうしてイクヒョンが加速度的に面白くなっていくのに比例して、ヒョンベは迫力たっぷりのカリスマヤクザになっていきます。
物事に動じず口数少なく、筋を通さない人間は問答無用でボコボコにする。ヒョンベの一睨みで空気が引き締まり、敵は震え上がり下っ端は心酔する。眠い二重まぶたのハ・ジョンウは、韓流のいわゆる王子様的ビジュアルではありませんが、その全身からむんむん溢れる色気ったら、あなた、これがスゴイもの。184cmの長身にがっちりした肩幅と胸板、スーツをビシッと着こなしながらも漂う、どこかグレた風情がたまりません。
公開当時、全韓国女子がハ・ジョンウにメロメロになり、彼女がこの映画を見に行くことを嫌がる男性が続出したとか。でも『チェイサー』では猟奇殺人鬼にしか見えなかったし、『悲しき獣』ではド貧乏な脱北者にしか見えなかったし、『素晴らしい一日』では元彼女の尻に敷かれた愛すべきダメ男みしか見えません。それぞれぴったりハマっているんですから、ほんと、演技力なんですねえ。
そしてもうひとつ、ヒョンベがカッコよく見えるのは、やっぱりゲス男、イクヒョンの存在があるからなんですね。
イクヒョンの目的は、その時その時の金儲けとサバイバルのみで、仁義もへったくれもなく、あっちについたりこっちについたりを繰り返します。韓国の80年~90年は、戒厳令のもと、光州事件などの民主化運動が激烈に高まる一方で、’88年のソウルオリンピックへとつながる「漢江の奇跡」と呼ばれた経済成長も遂げた、価値観激変の時代です。イクヒョンがそうした時代の趨勢を捕らえられたのは、信念のなさゆえ。
それに対してヒョンベはひとつの正義と生き方しか持たない芯の通った古いタイプの男。言ってみればこれは韓国版の『仁義なき戦い』なんですが、ヒョンベは菅原文太演じる広能、イクヒョンは金子信雄演じる山守なんですねえ。若い女子は分かりませんね。若くない女子もわからないですねー。まあ端的に言うと、そこに勝ち負けの境界線があるんです。
じゃあどうしてイクヒョンはそうまでして勝つ必要があったのか。この人間の複雑さを感じさせるラストがすごくいいです~。
さて最後にハ・ジョンウ最新情報を。
韓国で現在公開中の『ザ・テラー・ライブ』ではニュースキャスターを演じる単独主演作で、観客動員500万人を突破。『グエムル 漢江の怪物』のポン・ジュノ監督のハリウッド進出作『スノーピアサー』(日本では来年公開予定)を猛追中です。『悪いやつら』の監督ユン・ジョンピンとの次回作『群盗』は、共演は兵役明けのカン・ドンウォン。いい男対決です~。今年の後半は自ら演出した『ローラーコースター』も公開。色気同様、才能も溢れとります。
実は二世俳優、お父さんもよく知られた俳優さん(『夏の香り』『逆転の女王』などのキム・ヨンゴン)なんですが、いまやそんなの全く関係なし。今後も注目してください~。
『悪いやつら』
8月31日(土)よりシネマート新宿、9月14日(土)よりシネマート心斎橋ほか全国順次公開
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『ベリリン・ファイル』 全国順次公開中
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