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「夫はいらない、子供はほしい」女子に 「セルフ人工授精」はアリか?ナシか?

渥美志保映画ライター

これまで男性との付き合いが半年以上続いたことがなく、今後も続く自信がない、でも子供は絶対にほしい――常々そんなふうに思っていた30代女子のマギーは、ある時一大決心をして、人工授精することに。ところが、いよいよ!という時に、同じ職場で働く既婚者のジョンと不倫関係に陥り、妊娠が発覚します。マギーは妻と別れたジョンと結婚しすることになります。

映画『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』は、ここから始まる結婚生活を描いてゆくのですが――それはさておき。私がこの映画で一番びっくりしたのは、映画の中に出てくる「人工授精キット」ともいうべきグッズです。

マギーは大学時代の友人の中でも「数学の才能がある頭のいい男」に精子ドナーになる約束をとりつけ、健康状態の診断書を出してもらった上で、滅菌済みのプラスチックの蓋つき採取容器を手渡します。そして自分の排卵日に合わせて用意してもらった精子をその中に入れて持ってきてもらい、管のついた注射器のようなもの(シリンジ)で吸い上げた後に体内に注入する――という方法で、妊娠をもくろんでいました。

娘ちゃんがかわいい~。
娘ちゃんがかわいい~。

不妊治療に詳しいわけではないのですが、実際にやっていた友人に聞いた話では、人工授精は肉体的精神的な苦痛をともなう上に、時間もお金もかかって大変……という感じだったので、この「セルフ人工授精」には度肝を抜かれました。医療費がバカ高く、合理主義とDIY精神が息づく、さすがはアメリカ――と思ったのですが、探してみたら最近は日本でも売っているんですね。妊活中の夫婦からの「おかげで妊娠しました!」なんてコメントまで並んでいて、これが本当ならば驚くばかりです。

さてそんなこんなで子供を産んだマギーがやがて気づいていくのは、結婚したジョンが子供以上に手のかかる身勝手男だったことです。二人とも仕事を持っているのに家事はすべてマギーの役割で、さらに前妻との間にいるジョンの二人の子供たち、離婚の際に決めたその子育て分担も、ついでに家計もマギーに頼りっぱなし。やっぱり夫はいらなかった―ーそんなマギーのような働く女子にとって、この「セルフ人工授精、将来的には「アリ」と思う人も増えていくかもしれません。

『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』

(C)2015 Lily Harding Pictures, LLC All Rights Reserved.

(C)Jon Pack, Hall Monitor Inc.

映画ライター

TVドラマ脚本家を経てライターへ。映画、ドラマ、書籍を中心にカルチャー、社会全般のインタビュー、ライティング、コラムなどを手がける。mi-molle、ELLE Japon、Ginger、コスモポリタン日本版、現代ビジネス、デイリー新潮、女性の広場など、紙媒体、web媒体に幅広く執筆。特に韓国の映画、ドラマに多く取材し、釜山国際映画祭には20年以上足を運ぶ。韓国ドラマのポッドキャスト『ハマる韓ドラ』、著書に『大人もハマる韓国ドラマ 推しの50本』。お仕事の依頼は、フェイスブックまでご連絡下さい。

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