韓国軍を嗤う新聞。ソースはネット
最近、やたら韓国・中国ネタが雑誌記事を賑わせていますが、新聞でも盛り上がりを見せているようです。特に最近の産経新聞は韓国軍ネタを多く取り上げてますが、「それって、何年か前に2chで話題になった話よね?」としか言い様がない、古いネタを引っ張ってくる安い紙面作りだったりします。週刊誌ならともかく、新聞社様がそれをやるのはどうよという気がしないでもないですが、今回の産経は韓国を嘲笑おうとして、とんでもない墓穴を掘ってしまったようです。
2007年に韓国空軍のF-15Kが基地内を移動中にマンホールに脚を突っ込んだ事故です。これは韓国軍のお粗末な状況を示す例としてよくネットで挙げられています。ところが、この記事中にある「事故を起こしたF-15」の写真ですが、これはどう見ても韓国軍が持っているF-15Kでありません。
この写真は米空軍が保有するF-15の脚がトラブった写真なのですが……。韓国を馬鹿にする記事で、まさかのアメリカを馬鹿にする記事。天下の産経新聞が、ネットで見つけた韓国話に付いてた写真を裏取りもせずに紙面に載せるほどお粗末だとも思えないので、実は韓国軍をバカにするつもりで米軍をコケにしたいという、岡田敏彦記者の高度な深謀遠慮が働いているのかもしれません。
さて、産経新聞の仰るとおり、韓国空軍が高価な戦闘機の脚をマンホールに突っ込ませたのは、実にお粗末な事故です。ただ、機体の損傷は軽微なレベルで、事故としての程度は重大なものではありません。ここで、ここ20年間に起きた、お粗末な原因による航空機の重大事故を振り返ってみましょう。
- 1995年。訓練中、僚機のF-15を撃墜。全世界のF-15で、唯一の公式被撃墜記録。
- 1996年。環太平洋合同演習(リムパック)中、標的を曳航していた米海軍のA-6曳航機を誤って撃墜。
- 2007年。F-2支援戦闘機の配線を逆に挿したため、離陸直後に墜落、炎上。
いずれも死者が出なかったのが不幸中の幸いでしたが、機体は修復不可能なまでに破壊された重大事故です。問題はこれ、全て日本がやらかした重大事故なんですが……。
韓国の軽微な事故を嗤っていると、日本はもっと重大な事故を複数回起こしている事でブーメラン喰らいますよ? F-15が1972年に初飛行してから2014年の今日に至るまで、「世界唯一のF-15撃墜国(ただし味方の)」が日本だという事実の重大さを、少しは冷静になって考えてみる必要があるでしょう。
さて、ここまでコケにする調子で書いてきましたが、真の問題は無関係の写真を載せたことでも、実は日本の方が重大事故起こしている事でもありません。産経新聞は盛んに日本を「平和ボケ」とする論調の記事を出し、安全保障についての危機意識を国民に喚起しており、安全保障について一言ある新聞のはずです。
昨年末、我が国の安全保障政策の基本となる「国家安全保障戦略」が策定されました。この中で、アメリカとの関係強化に続き、韓国との軍事的協調関係を築くことが下記の通り強調されております。
このように、現状の日本の防衛政策は、韓国が味方か、最低でも敵対しない関係にある事が大前提になっています。しかし、現実には日韓関係は冷えきっており、首脳会談の見通しすら立っておらず、日本が韓国を味方であると一方的に決め付けている状況です。中国の影響力増大により、「韓国は味方」と言う前提が崩れるかもしれないと近年言われている中で、韓国軍を嘲笑する記事を日本の新聞社が書く事を「平和ボケ」と言わないのならば、何を平和ボケと言うのでしょうか。こちらが味方だと見做している国の軍隊に対し、軽微の事故をあげつらう産経新聞の姿勢はあまりに無節操です。真に日本の安全保障を憂いているのならば、こんな真似が出来るはずもありません。
韓国をバカにするネタを出す一方で、日本唯一の韓流エンタメ新聞"韓Fun”を発刊し、好韓嫌韓双方から搾取してきた愛されてきた産経新聞社。今月一杯で韓Fun休刊を決定したことで、より一層嫌韓相手の商売に邁進されるんでしょうか。