痛み発症と途中棄権を繰り返すタイガー・ウッズ。しかし「繰り返せる」うちは可能性がある。
タイガー・ウッズの途中棄権のニュースが世界のゴルフ界に不安をもたらしている。
2015年8月のウインダム選手権以来、2度に渡る腰の手術を受けて戦線離脱していたウッズは先週のファーマーズ・インシュアランス・オープンで1年5か月ぶりの米ツアー復帰を果たしたばかり。
今週は欧州ツアーのドバイ・デザート・クラシックで復帰2戦目に挑み、初日は77を叩いて大幅に出遅れたが、予選通過を目指して2日目に挑むつもりだった。
だが、初日の夜、夕食後に腰に痛みと痙攣が走り、2日目の朝、3時間半に渡るさまざまな処置を受けたが、スイングができるレベルまでは回復せず、第2ラウンド開始前に棄権した。
ウッズのマネージャーによれば、今回の症状は神経などの問題ではなく、背中や腰に痙攣が出ているとのこと。日常動作はできるが、フルスイングができる状態ではないそうだ。
【繰り返す棄権、手術、復帰のサイクル】
ウッズは先週のファーマーズ・インシュアランス・オープンを皮切りに5週間で4試合に出場する積極的なスケジュールを組んでいた。元々オフウィークの予定だった来週を挟み、再来週はウッズ財団がスポンサードするジェネシスオープンに思い出深いリビエラで出場予定だが、今のところ出場可否は未定だ。
長期欠場の末、「今度こそ」という希望と願いを込めて、ようやく戦線復帰した矢先の途中棄権は周囲に大きな不安や波紋をもたらしている。
ドバイ・デザート・クラシックの会場では選手たちが口々に「心配だ」「このまま引退なんてことにならなければいいけど」と、最悪のケースも想定しながら不安そうな表情を浮かべている。
ウッズが腰を痛めて最初に途中棄権したのは2014年3月のホンダクラシックの最終ラウンド。その後に腰の神経の手術を受けたが、同年8月のブリヂストン招待最終日に再び途中棄権。
さらに2015年2月のファーマーズ・インシュアランス・オープン初日にも途中棄権。以後、試合には出場していたが、同年8月のウインダム選手権後、9月と10月に腰の手術を受け、以後は戦線離脱。
そして先週、1年5か月ぶりに、過去8勝を挙げた得意コースであり、2年前に棄権した因縁の大会でもあるファーマーズ・インシュアランス・オープンで戦線復帰。
結果は予選落ちだったが、「いい方向に向かっている」「勝つために挑んでいる」「4月の第1週に向けて調整していく」と、マスターズ優勝も視野に入れていることを示唆していたほどだった。
痛みを発症し、棄権、手術、リハビリ。そして復帰し、再び痛みを発症して、またしても棄権。
そんなふうに“繰り返している”からこそ、不安は募る。それでも、繰り返せるうちは可能性がある。
もう、繰り返せない――そんな言葉をウッズが発しないことを、今は祈るばかりだ。