直近は67.3%に…大卒就職率動向をグラフ化してみる
大卒者の就職率は67.3%、「安定的な雇用に就いていない人」は20.7%
今回発表された2013年度分の学校基本調査の速報によれば、同年度に大学(学部、以下同)を卒業した人の進路は次の通り。
・就職(正規・非正規合わせて)……67.3%
・進学(大学院や専修学校、海外への学校への入学)……13.0%
・一時的な仕事に就いた人(パート、アルバイト)……3.0%
・進学も就職もしていない人(就職浪人や資格取得のための勉強、花嫁修行や結婚による専業主婦化など)……13.6%
その他に不詳・死亡、臨床研修医などが該当する。また、一部報道などで取り上げられていた「安定的な雇用に就いていない人」、具体的には「就職者のうち非正規就業者(フルタイムの契約社員や派遣社員)」と「一時的な仕事に就いた人」「進学も就職もしていない人」を合わせた「安定的な雇用に就いていない人」は20.7%。これは前年度から新たに算出されたもので、その時は22.9%だから、今年度は2.2%ポイントの減となる。
もっともこの値には、正規就業をしたくても出来ずに非正規に留まっている人に加え、意図的にその立場にいる人も少なくない。そのため、一部報道によるネガティブなイメージの対象者とは一概に言い切れないことに注意する必要がある。
主な値について前世紀末からの推移を見たのが次のグラフ。
就職率はリーマンショック前にピークを迎えるが、その後は減少。これは雇用市場の冷え込みから、大学卒でも就労先が見つかない人が増えたことを意味する。「一時的な仕事に就いた人」と「進学も就職もしていない人」の合計が就職率の上下とほぼ逆の動きを示しており、その裏付けにもなる。多分に就活中、あるいは就活しながら短期的なアルバイトをしている人の増加によるものだろう。また2011年頃から雇用市場の回復による、就職率の上昇も確認できる。
一方でリーマンショック以降「進学率」も低迷の動きを示しているのが目に留まる。前年より改善も不景気突入前よりは低水準…大学生の2013年3月末時点での就職率は93.9%・前年比0.3%ポイントのプラスなどで指摘していることだが、大学からさらに大学院に進学しても、就職の上では必ずしも有利とは限らない現状が、大学院などへの進学率を下げている要因と考えられる。
時代の流れと共に変化する大卒者の進路動向
同じ期間の動向について、他の区分も合わせ詳細な比率の推移を見たのが次のグラフ。
前世紀末から今世紀初頭にかけては今と比べると、大学卒に占める「進学・就職をしない人」の割合の高さ、進学率や就職率の低さが分かる。また2005年前後から就職か進学のいずれかを選ぶ人の比率が増え、進学・就職をしない(できない)人の比率が減少傾向にあったこと、リーマンショックで「就職派」が減ったものの、ここ数年は再び増加、しかし「進学派」は継続して減少していることなどの動きがはっきりと確認できる。
今後も景気動向や雇用市場に激変が無い限り、直近の傾向は継続していくことだろう。つまり大卒者就職率の増加、進学率の低下などが予想される。一方で昨年度から算出された「安定的な雇用に就いていない人」の動きも気になるところだ。
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