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今後も増える「ぼっち世帯」、2050年には4割超・うち過半数がシニアぼっちとの試算も

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 今後ますます増える「ぼっち世帯」こと単独世帯、そして「シニアぼっち世帯」も…

2050年には「ぼっち世帯」は42.5%に

少子化、核家族化、晩婚化、高齢化(配偶者が先立つ事で独り身になる)に伴い、世帯構成員が一人のみの単身世帯・単独世帯・一人身世帯、俗にいう「ぼっち世帯」が増加の一途をたどっている。緊急時のリスクや地域インフラの整備問題など、社会の構造を巡る問題を考慮する際には、無視できない社会現象である。

次に示すのは国土交通省が開催している国土審議会・政策部会において試算・提示された、日本の世帯類型別世帯数の、全体世帯数に占める比率の推移。2005年分までは国勢調査による確定値、それ以降は社会情勢などを勘案した上での推定値となっている。それによると2050年には全世帯の4割強が「ぼっち世帯」で占められることになる。

↑ 世帯類型別世帯数推移(全体に占める比率)(2010年以降は推計)
↑ 世帯類型別世帯数推移(全体に占める比率)(2010年以降は推計)

「夫婦と子」という典型的な核家族は1995年以降すでに減少に転じ、2010年には世帯数第一位の座を「ぼっち世帯」に明け渡している。以降も減少の動きは止まらず、2050年には核家族の比率はピーク時の半減以下の値となる。子供を持たない(子供が元から居ない、あるいは独立した)「夫婦のみ」も比率の上では2015年でピークとなり、それ以降は漸減。

唯一増加を続けるのは「単独世帯(ぼっち世帯)」。世帯数上で減少に転じるのは2040年に入ってからで、その減少率も大人しいことから、世帯全体数に占める比率は逆に増加する。2050年には全世帯数の42.5%に至り、「夫婦のみ世帯」「夫婦と子」を合わせても、「ぼっち世帯」にははるかに届かない状況となる。

ぼっち世帯の過半数はシニア世帯になる時代

「ぼっち世帯」は主に若年層の未婚者と、高齢者(シニア、65歳)で形成される。次に示すのは「シニアぼっち世帯」とそれ以外の世代による「ぼっち世帯」の数の推移。若年~中堅ぼっち世帯数がほとんど横ばい、微増なのに対し、シニアが大きな上昇を示しているのが分かる。

↑ 単独世帯における高齢者単独世帯数比率推移(2010年以降は推計)
↑ 単独世帯における高齢者単独世帯数比率推移(2010年以降は推計)

2045年には「ぼっち世帯」の過半数が、シニアで占められる計算になる。2050年においては実に55.0%。世帯数そのものも1000万世帯に届く換算。さらにいえば、2050年時点での総世帯数推計は4205万世帯なので、ほぼ4世帯に1世帯が「シニアぼっち世帯」となる。20世帯が住まう集合住宅があれば、そのうち5世帯が「65歳以上のお年寄りが一人きりで住む世帯」という状況。

世帯構成内容の変化は、社会全体の構造変化。インフラの整備・仕様はもちろん、各種行政サービスのスタイルも変化対応が求められる。どのような施策をとるにせよ、可及的速やかな、官民合わせての抜本的な対応が求められよう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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