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山本議員の行為はバイト店員の悪ふざけ写真の公開と同じ

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

「山本議員」が「炎上バイト店員」と同じに見える

10月31日の園遊会で発生した、山本太郎参議院議員による「直訴」のような行為。マナー違反や法的な面はもちろんのこと、議員自身の資質、警備体制の問題、天皇陛下の政治利用、民主主義体制へのテロに等しい行為であることなど、さまざまな問題が呈され、園遊会そのものの存続も含め、議論の対象となっているのは既に知られている通り。

↑ TBSテレビによる状況報道映像(公式)

今件に絡む法的面をはじめとした諸問題は専門家先生諸氏にお任せするとして、当方がこの話を見聞きした時の第一印象を書き連ねておく。それは、先ごろ相次ぎ露呈され「炎上」した、外食店のアルバイト店員による、店内での悪ふざけの情景を撮影し、それをツイッターやFacebookに投稿した事件と構造的に似ている、同じ香りがしたというものだ。

「炎上」の対象となったアルバイト店員の事情聴取の話に目を通す限りでは、悪気はなかった、ほんの内輪ネタ的なカワイイいたずら程度のものとしか認識してなかった節がある。罪を逃れるための言い訳・偽証の可能性もあるが、内容や同世代のリアクション、複数の事案で同様の反応が出ているのを見ると、ほとんどが本当にそのような考えのようだ。

しかしバイト店員の所業で店は大きな被害を受ける。現状修復には多大なコストがかかり、店舗、さらにはフランチャイズ本店にもイメージダウンという損害が生じる。中には店舗閉鎖に追い込まれたところもある。当然、当人は莫大な損害賠償を請求されることになる。「後悔」は「後で悔やむ」と書くのだが、まさにその言葉通り。

ひるがえって今回の山本議員による行為も、本人からすれば事態の重大性への認識はさらさら無かったに違いない。単に目立ちたかっただけ、売名行為をしたかっただけ、その機会が「園遊会」で訪れたので実行しただけ(国会での質問権の問題で「目立つ」機会を逸していただけに、絶好のチャンスと考えたのだろう)。しかし国民主権を体現した国会議員の一員が、国の主権が天皇陛下個人にあるような行動を呈するのは、「国の主権を担う立場」の一員である自分の立場を理解していなかったことを暴露したに他ならない。

「無知は罪」

「理解をしていない」という点では、園遊会そのものに対する理解もまったく無かった感はある。11月1日の記者会見で山本議員は次のように答えていた。

山本氏はこの後、記者団に対し「マスコミが騒がなければ、政治利用といわれることはなかった。議会の沙汰があれば受け止める」と述べ、自ら辞職する考えがないことを強調した。

「参院議運、山本議員を聴取 閣僚、与野党からは批判の嵐、議員辞職要求も」(産経ニュースより) 

園遊会には報道も多数出席し、その様子は何度となく様々な切り口で伝えられている。それが私人では無く公人の行動ならばなおさら。つまり山本氏は園遊会がこれまでどのように報道されていたかについて知らなければ、自身が議員という公人であるとの認識も無かったことになる。あるいはテレビ自身まともに視聴しておらず「テレビ!? 出れば目立つ」程度の考えしかなかったのかもしれない。

浅い、自分の狭い視野で自らの行動を軽々しく認識し、罪の意識はまったく持っていない。むしろ正しいとすら自認している節もある。少なくとも悪びれた様子はない。山本氏の行動後の対応、発言を見るに、悪戯行為の写真を暴露し、炎上した直後のアルバイト店員がたぶって見えて仕方がない。

そして山本氏の行為が不問に付されれば、同様の行為が繰り返される可能性は多分にある。園遊会を問わず与党と別の考えを持つ議員が、政党が、団体が、天皇陛下にお会いになるたびに直訴をする事態になりかねない。様々な点で問題以外の何物でもない。

彼の行為にどのような判断が下されようと、多くの人が迷惑を被ることに違いは無い。そして無知の結果、炎上してしまった多くのバイト店員と同じように、山本議員も相応の「対価」を支払う羽目になる。あるいは議員本人以外もそのツケを回される可能性もある。

山本議員本人はもちろんだが、彼を議員として選出した投票者においても、「無知は罪」なのである。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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