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有給を取らない人ほど「有給は上司が嫌う」と思っている

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 笑顔で有給休暇申請に応じてくれる上司、ならいいのだが…

「有給休暇」はゆとりある生活を保障するため、使用者(企業)から与えられる、休暇の一種で、休んでも賃金が就業時同様に維持されるもの。法令で一定期日以上勤続した人には、勤続期間に従った休暇数を付与しなければならないと定められている。他方、残業と同じように、勤勉に関して過度の敬愛を美徳とする傾向がある今の日本では、有給休暇取得に罪悪感を覚える、周囲からマイナスの評価を受けるのではとの不安を抱く人もいる。

次のグラフは内閣府男女共同参画局が2013年12月に発表した「ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査」の結果を基にしたもの。該当部分は20歳~59歳の被雇用者を対象にしたものだが、「有給休暇の消化率」と、「有給休暇の取得について上司がどのように考えているのか『と回答者自身が思っている』」かの関係を尋ねたもの。回答者自身の想像であり、実際に上司に尋ねているわけではないことに注意。

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↑ 有給休暇を取得している人に対し、上司がどのように評価している「と(回答者自身が)思っている」か
↑ 有給休暇を取得している人に対し、上司がどのように評価している「と(回答者自身が)思っている」か

有給休暇消費率が高い人は大よそ「時間管理が上手」「オン・オフのメリハリがある」など、有給休暇の取得にプラスのイメージを上司が抱いていると「回答者自身が」考えている(本当に上司がそう考えているか否かは分からない)。有給をあまりとらない人は、プラスのイメージ率は低い。逆に有給休暇消化率が低い人ほど、「仕事が少ない人」「仕事より自分の予定を優先する人」など、有給へのマイナスイメージを上司が持っていると「回答者自身が」考えている。

今件は「有給取得率」と「有給に対して『上司がこのように思っているだろう』との回答者の考え」との相関関係を裏付けたもの。因果関係、すなわち「有給休暇の取得は上司がマイナスに思っているだろう。だから有給はあまり取らないでおこう」と考え、回答者が有給休暇をあまり取らない行動を決定したとの確証まではできない。しかし、両者の関係を察するに、少なからぬ因果関係もあるだろうことは容易に想像が出来る。

就業者の一部に浸透している「有給を取ると上司から低い評価を受けるかも」といの思いが、有給取得率を低く抑える一因であると推定するには、十分な調査結果といえよう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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