「学校への持ち込み禁止」「今は保有禁止」子供への携帯電話規制支持率
携帯電話(従来型とスマートフォンの双方)の子供における所有は、情緒教育の面でプラスとなる、周囲の子供が持っているので持たせないとかわいそう、将来に備えて慣れさせておくのは悪くない、さらには防犯目的などで欠かせない場合など、多種多様な理由のもとに保護者から許諾を受けて行われる。しかし携帯電話の保有は、出会い系サイトへのアクセスや過度の課金など、使い方次第では大きなトラブルに巻き込まれる危険性をも秘めている。また子供達がその魅力に取りつかれ、日常生活へ大きなマイナスの影響を及ぼすかもしれない。それらリスクを考慮し、子供に携帯電話は持たせたくないと考える親も多い。そこで内閣府が2014年3月付で発表した、「青少年のインターネット利用環境実態調査」から、現状における保護者の子供への携帯電話の規制に関する考え方を確認していくことにする。
小中高校生を子供に持つ保護者から成る調査対象母集団に対し、「小中学生は学校に携帯電話を持ち込むことを禁止べきである」「小中学生へは携帯電話の保有を禁止すべきである」との意見について、同意するか否かを聞いた結果が次のグラフ。
全体では「持ち込み禁止」は30.8%、「保有禁止」は17.4%が賛成派。少なくとも7割は、小中学校への携帯電話の持ち込みについて「否定的ではない」ことになる(肯定か意見留保かはまた別)。
子供の学校種類別では小さい子供を持つ保護者ほど規制を望む声が強く、大きくなるほど少数派になる。回答者の子供が通う学校種類に対してのみではなく、すべて「小中学校において」との前提で尋ねているのだが、自分の子供が大きくなるに連れて、子供の携帯電話保有に関しては寛容になるようだ。あるいは自分の子供の実態を通して、「問題無いのでは?」との判断なのかもしれない。
経年データを基に生成したのが次のグラフ。「持ち込み禁止」「保有禁止」共に昔ほど規制を求める声が強く、最近になるに連れて規制には賛同できない人が増えている(規制反対とは限らないことに注意)。
2009年時点では4割強が「持ち込み禁止」、1/4以上が「保有禁止」に賛同していた。しかし直近の2013年ではそれぞれ3割強、1/7程度にまで規制賛成派が減少している。周囲環境の変化(実使用者の増加、啓蒙の強化など)に加え、保護者自身も携帯電話を利用し、安心感を覚えているのかもしれない。人は自分にとって未知なるものを恐れ、他人には薦めない。自分が知っていれば「安心だ」という錯覚に陥りやすい。
「持ち込み禁止」は減少率がゆるやかだが、「保有禁止」は確実に減りつつある。小中学生の携帯電話、特にスマートフォンの所有率が上昇傾向を継続しているのも、保護者側が保有に対して寛容になりつつあるのが一因だろう。
保護者の規制意欲が減少すれば、子供の携帯電話保有・利用率は確実に上昇する。今後も小中学生の携帯電話保有率はさらに上昇を続け、それに伴うさまざまな現象も増加していくに違いない。
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