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アメリカ人が思う未来技術の「良し」と「ダメ」

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 様々な未来的科学技術のすべてが望まれている……わけでは無い

アメリカ人が思う「こんな未来の発明品が欲しい」

科学技術は日進分歩の勢いで突き進み、その技術を活用した新しい道具が家庭に行きわたり、日常生活を変えていく。アメリカの民間調査会社Pew Research Centerが2014年4月に発表した調査結果「U.S. Views of Technology and the Future」によれば、科学技術に寛容な同国においては6割近い人が、科学技術の進歩は概して人の生活をより一層良いものとしてくれると考えている。

↑ 技術革新は人々の生活を良くしてくれるか悪化させるか(米、2014年2月)
↑ 技術革新は人々の生活を良くしてくれるか悪化させるか(米、2014年2月)

それでは具体的に、どのような技術があれば嬉しいのだろうか。想定しやすい物をいくつか列挙し、そのうち一番の「使ってみたい、欲しい」を挙げてもらった結果が次のグラフ。

↑ 未来的発明(品)が欲しい・使いたいか(単一回答)(米、2014年2月)(全体)
↑ 未来的発明(品)が欲しい・使いたいか(単一回答)(米、2014年2月)(全体)

最多意見は「健康維持・寿命伸長・医療系」と「タイムトラベル・タイムマシン」で9%ずつ。ついで「空飛ぶ自動車やバイク」が6%。そして「個人向け(使用人)ロボット」「個人用宇宙船」が続く。元々の選択肢のラインアップ上の問題、さらには科学技術が求めているものの方向性もあるのだが、移動系の技術への期待が高い。

一方で興味関心が無い、特に思い当たるものはないとする意見も1割強ほどいる。

これを大別化した上で世代別に見ると、各世代の科学技術への想いの違いが見えてくる。

↑ 未来的発明(品)が欲しい・使いたいか(単一回答)(米、2014年2月)(世代別)
↑ 未来的発明(品)が欲しい・使いたいか(単一回答)(米、2014年2月)(世代別)

若年層は移動系技術への期待が強い。他世代と比べて2倍近い回答率を示している。一方で医療系や、興味関心が無い、分からないの回答は歳を経るほど増加しており、技術への関心が自分自身の現状と深い関係にあること、そして歳と共に未来的発明・科学技術への興味関心そのものが薄れていく様子がうかがえる。

「これはダメだ」と思われている技術達

しかしながら実現が夢見られている、開発途上の科学技術の中には、懸念を抱く人の方が多いものも多々存在する。次に示すのはその類の4技術だが、いずれも「実現したら世の中は悪くなる」と考える人の方が多い結果となっている。

↑ 技術革新によって実現したら世の中は良くなるか悪くなるか(米、2014年2月)
↑ 技術革新によって実現したら世の中は良くなるか悪くなるか(米、2014年2月)

4選択肢の中では「生まれてくる子供のDNA操作による技能操作」が一番拒否反応が強い。具体的には身体能力や思考能力などにおいて、生まれる前に特異な技術を身につけさせるもの。SFなどで見聞きする「超人化計画」的なものである。この技術が仮に実現化したら、世の中は悪い方向に進むのではないかとする意見が2/3に達しており、良くなると考える人は1/4に留まっている。

意外なのは医療介護分野における人間同様に挙動するロボットの介在に対する意見で、これもほぼ2/3が反対的姿勢。賛同派も3割に満たない。まだ埋め込み式デバイス化はなされていないが、近いうちに現実のものとなりそうな「周辺情報が常時展開される埋め込み式デバイスなど」は4割近くが肯定的だが、過半数は否定的な姿勢を示している。

これらの技術のうちどれが実現のものとなるか、一般社会に広まるかは、現時点では分からない。いくつかはすでに試験試用段階に進んでいるものもある(商用・民生化できるかはまた別)が、発想論としては存在するものの、それを開発する意味があるか否かも含めてまったくの未知数なものも存在する。

いずれにせよ、肯定的なもの、否定的なもの、双方とも、これらの技術が仮に現実のものとなるとしたら、その効用やリスクなども合わせ、改めて多くの人の間で論議が交わされることになるのだろう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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