衝撃から常識へ・高校生スマホ所有率は85%に
携帯電話市場が従来型からスマートフォンへの切り替え過程にあるのが主要因だが、日本では今、急速にスマートフォンが普及しつつある。特に高校生にはインターネットへのアクセスの窓口としての役割も期待され、圧倒的にスマートフォンを利用する人が増えている。その実態を、情報通信政策研究所が2014年5月に発表した「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査」の速報版の結果から探ることにする。
次に示すのは、調査対象母集団(高校1年生から3年生)における、「スマートフォンをしている」と回答した割合。「していない」「無回答」は除いている。また、状況的には非常にまれな事例だが「スマートフォンを利用しているが、インターネットは利用していない」という事例もカウントされる。
全体では84.5%。20人のうち17人がスマホ利用者。1クラス30人ならば25人はスマートフォンを利用している。男女別では5.7%ポイントの差で女性の方が高い。スマートフォンの利用者の多くはソーシャルメディアを利用し、そのソーシャルメディアの利用率も女性の方が高いことから、「ソーシャルメディアを使いたい」との強い需要が女性にあり、それが反映されたものと考えられる。
学年別では低学年の方が利用率は高い。高学年の方が分別を有し、財力もあるはず。高学年の方が利用率は高いはずだが、現状はまったくの逆。
理由は2つほど考えられる。1つは受験勉強への注力が求められ、スマートフォンの利用を保護者から止めている・止めさせられている人がいる。そしてもう一つは「携帯電話」は持っているが「スマートフォン」ではない、つまり従来型携帯電話を所有している人が、高学年の方が多いという可能性。
別調査機関の調査結果(Z会によるもの、「スマホは高一3/4、高三6割…高校生の携帯電話所有状況」)でも、高校生内においては低学年ほどスマートフォンを利用しており、同時に従来型携帯電話の利用率は高学年ほど高く、携帯電話全体の保有率は学年でさほど変わらないとの結果が出ている。
これと同じパターンと考えれば道理は通る。つまり携帯電話全体の利用率は全学年でほぼ同じだが、高学年ほど従来型携帯電話の利用率が高く、低学年ほど低いというものだ。
この現象は「スマートフォンの市場浸透が著しいスピードで進んでいる」と「高校生の携帯電話購入・買換えのタイミングは入学時がほとんど」の2つの事象を起因とする。回答時における高校1年生は2013年春に携帯電話を購入・買換えした可能性が高く、その時にはほとんどの携帯電話の新商品はスマートフォンだったので、必然的にスマートフォンを選ぶ人が多く、スマートフォン利用率は高くなる。ところが高校3年生が高校に入学して買換えの機会を得たのは2011年春で、2013年春と比べるとスマートフォンの市場展開度は低いため、結果としてスマートフォンの利用率は低めになるという次第である。
つまり今調査などにおける「高校では低学年ほどスマートフォンの利用率が高い」状況は、あと数年で終わりを迎える。普及過渡期における、一時的現象と見れば良い。
過渡期を終えた頃には、高校生全体の普及率は、現在の高校1年生と同程度のものになる。つまり85%後半から90%近辺に落ち着く。この利用率はそのまま卒業後、大学生や社会人でも引き継がれることになるので、若年層のスマートフォン普及率は少しずつ、そして確実に、他世代よりも速いスピードで上昇していくことになろう。
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