携帯電話は「電話レス」が求められる時代・6割は「通話定額不要」
6割は「通話定額制不要」
ほぼすべての人が従来型、スマートフォン双方を合わせた携帯電話を所有する時代だが、その携帯電話において、メインであるはずの通話機能を必要としない、ほとんど使わない人が増えている。端末の高性能化やコミュニケーションの変容を受け、通話をソーシャルメディアや電子メールなどで代替したり、通話をするにしても専用の通話アプリを用いるから、というものだ。
一方、昨今では携帯電話大手三社の料金体系において、通話料金の定額制は横並びとなっている。基本料金としてはスマートフォンなら2700円、従来型携帯電話なら2200円(いずれも月額)。この「定額通話料金サービス」について必要性を尋ねたところ、必要だと感じている人は4割程度に留まっていた。6割は「必要性を感じられない」との回答(以下、楽天リサーチが2014年5月に発表した「携帯電話料金に関する調査」結果より)。
携帯電話は「携帯」する「電話」であり、通話をするのがメインの機能。その通話をいくら利用しても料金に変化は無い料金プランは魅力的なはず(朝食時間帯の学食が定額で食べ放題のようなものだ)なのだが、魅力を覚える人は少ない。昔と比べて携帯電話における通話の重要性が低下したため、必要性を覚える人も少なくなっているのだろう。これは他の調査、例えば総務省が昨年発表した「情報通信白書」からも読み解くことができる。
若年層だけでなく、各世代とも通話よりメールが多用されている。コミュニケーションそのものは他にも直接会話、手紙など多様な手段があるが、携帯電話周りで可能な行為としてはこれら位であり、その中では通話が少数派となってしまっている実情が確認できる。
定額制が不必要なのは通話をあまりしないから
定額制の通話料金体系を不必要と考えている人に、その理由を聞いた結果が次のグラフ。
最上位の回答は「通話をあまりしない」で57.8%。つまり調査対象母集団全体比では35%の人が「携帯電話ではあまり通話をしない」ことになる。上記の「情報通信白書」の結果同様、「携帯する電話としての機能」がメインからサブになりつつあるという実態が浮き彫りにされている。
次点の「現在の通話料金が設定金額より安い」40.5%も意味的には同じようなもの。例えばスマートフォンで月額2700円の通話定額制に加入しても、通話の利用実料金(定額制を使わなかった場合の料金)が1000円や2000円に留まっていたら、定額制の必要性は無い。先の「朝食時間帯の学食が定額」の例なら、元々朝食をほとんど食べない人にはメリットが見いだせないのと同じ。つまり「携帯電話で通話を(あまり)しないのだから、定額制では得をするどころか逆に損をする。従量制の方が安くつく」ということ。
続いて「無料通話サービスを利用」がほぼ1/4。これはLINEなどで利用できる無料通話アプリの利用を意味する。通話そのものをしないから、との意見に比べれば少数派だが、無視できない影響力を有している。
特にこの「無料通話サービスの利用」は、若年層で大きな影響力を有する。
「無料通話サービスを利用」の回答率は10代・20代で極めて高い。特に10代に限れば、「通話をあまりしない」「現在通話料金が設定金額より高い」より上の回答率を示している。10代は通話をしないわけではなく、むしろ積極的に通話を使う傾向があるが、実質無料通話が可能なLINEアプリなどを使い(それで満足しているので)、通話定額制のプランの必要性を感じない人が多数に及ぶ次第である。
例えばLINEの無料通話アプリは、LINEでつながっているもの同士でないと使えない。LINEの普及率は若年層が高く、また若年層の交友関係では、通話する間柄はLINEでつながっている者同士でほぼイコールとなる。通話定額制を使う必要性が無いのも理解はできる。
携帯電話における通話機能は、食玩におけるガムのようなもの(「携帯電話の通話機能は食玩のガムみたいなもの」参照)で、大義名分上、そしてまったく不必要というわけではないことから、今後も存続していくことに違いは無い。しかしコミュニケーションの様式が今後さらに変わりを遂げていくにつれ、通話定額制の必要性はますます減退していくことは間違いあるまい。
■関連記事:
10代は携帯通話よりも無料通話アプリ…コミュニケーション手段としてのデジタル機器の利用性向をグラフ化してみる(2013年)