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たばこ代の何割が税金なのだろうか(2014年)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 昔と比べるとたばこの自販機も数を減らし、ずらりと並ぶ情景も珍しくなった

「たばこ税の」引上げはこの10年間で3度

たばこ代金の多分を占めるたばこ税だが、過去10年間に限っても2003年7月・2006年7月・2010年10月の3回に渡って引上げが行われている。特に直近の2010年に行われた引上げは過去に類を見ないほどの大規模なもので、それに伴い生じたたばこ代金の大幅値上げによる販売量への直接的影響は数年にも渡った。さらにこれを受けて、自販機や販売店の減少という間接的影響も小さからぬものが生じている。先の4月に行われた値上げは、消費税率の改定によるもので、たばこ税そのものは以前からのものが維持されている。

次(以降)に示すのは、たばこ販売大手のJTによる1985年4月以降のたばこ税の推移。横の時間軸が時間的等間隔では無く、たばこ代金に関連しうる税率変更毎となっていることに注意してほしい。現時点では2014年4月の消費税率改定が最後の関連タイミングであることから、右端の直近時期もそれに合わせている。

↑ たばこ税推移(円)(1本当たり)(従量税)(消費税含まず)
↑ たばこ税推移(円)(1本当たり)(従量税)(消費税含まず)

上記期間のうち1989年4月は消費税3%の導入、1997年4月は同税5%の引き上げにおける区分。前者は従課税周りの算出の変更があり実質的に違いは無く、後者はたばこ税の引き上げは無かったためやはり変化はない。そして直近の2014年4月も、上記の通り消費税率の改定のみであることから、たばこ税の変更は無い。それ以外はたばこ税の仕組みの改編や引き上げに伴う変化であり、額面も変更している。この辺り、一部誤解されている面があるので注意を要する。

メビウス1箱で税金分は何本?

このようにたばこ税そのものは漸次増加しており、それに伴いたばこの値上げも行われているものの、中期的にはたばこ代金に占める税負担率(消費税含む)は漸増しつつある。

↑ マイルドセブンの価格と税負担部分推移(円)
↑ マイルドセブンの価格と税負担部分推移(円)

1985年当時のマイルドセブンでは税負担率は56.7%(113.4円)だったものが逐次増加を続け、直近の2014年4月の価格改定では64.4%(276.9円)となり、7.7%ポイントもの増加が見られる。メビウス(マイルドセブンは2013年2月以降メビウスに名称が変更されている)1箱20本(430円)を吸うと、そのうち276.9円分、ほぼ13本は税金分という計算になる。

この税金分も含めた定価の構成を、やはりメビウス(430円)で見たのが次のグラフ。販売大本のJTの取り分は約110円、1/4程度でしかない。

↑ たばこ1箱あたりの定価の構成(メビウス・430円の場合、円)
↑ たばこ1箱あたりの定価の構成(メビウス・430円の場合、円)

販売店側のマージンは10%。JT側は約26%。JT側の取り分には原材料費や人件費をはじめとしたさまざまな経費がかかっており、それらをのぞいて初めて利益(場合によっては損失)が計上される。売上と利益は別物。1箱売れる毎にJTに110円の利益が上がるわけでは無い。このことに十分注意してほしい。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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