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さらに伸び続けるトップの中国、伸長するインドやインドネシア…主要国一次エネルギー消費量(2014年)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 近代化や省エネ化で幾分減らせるが概して経済発展と共にエネルギー消費量は増える

一次エネルギーの消費が増える国、減る国

国の産業発展や工業化、経済の成長ぶりを示す一つの指標となるのがエネルギー消費量。国際石油資本BP社が毎年発行しているエネルギー白書「Statistical Review of World Energy」から、主要国の一次エネルギー消費量の推移を確認し、各国の経済状況を垣間見る。

「一次エネルギー」とは、自然界に存在する形を用い、エネルギー源として使用されているものを指す。例えば化石燃料(石油、石炭、天然ガスなど)、ウラン、さらには水力・火力などが該当する。他方「二次エネルギー」も存在するが、こちらは電気やガソリンに代表される、一次エネルギーに手を加えて得られるものが対象となる。今回は「一次エネルギー」、つまり「国内外を問わず、どのような自然の恵みをどれだけ用いているか」について確認をしていくことになる。

直近データとなる2013年分では、一次エネルギーをもっとも多く消費しているのは中国、そしてアメリカ合衆国、さらに大きく値を落としてロシア、インドの順となっている。

↑ 主要国一次エネルギー消費量(石油換算・億トン)(2012-2013年)
↑ 主要国一次エネルギー消費量(石油換算・億トン)(2012-2013年)

さらに直近5年分をさかのぼり、上位国の動向を追ったのが次のグラフ。上位5位に限ってはもう少し前からさかのぼり、金融危機直前(2006年)からの動向も確認する。

↑ 主要国一次エネルギー消費量(石油換算・億トン)(2009-2013年)
↑ 主要国一次エネルギー消費量(石油換算・億トン)(2009-2013年)
↑ 主要国一次エネルギー消費量(石油換算・億トン)(2006-2013年)(上位5位)
↑ 主要国一次エネルギー消費量(石油換算・億トン)(2006-2013年)(上位5位)

中国の工業化は急激に進んでおり、それに伴い一般市民の生活水準も向上。それが元々人口の多い同国のエネルギー消費量増加に拍車をかける形となっている。人口増加×一人あたりのエネルギー利用量増加で、累乗的に消費量は増えていく。産業面でも似たような状況で、特に2009年以降は一次エネルギーの消費量上昇率が加速化しているのが分かる。

米中両国間でエネルギー消費量が逆転したのは2010年。アメリカが景気後退や省エネ化の促進でエネルギー消費量を漸減する一方、中国は漸増を続けているのだから、両国間でクロスが生じるのも当然の話。双方のエネルギー政策、消費動向に変化はなく、時間の経過と共に差異はさらに開いていく。

消費量変化を見ると……

これら諸国のエネルギー消費量について、前年比計算をした上でグラフとして生成したのが次の図。

↑ 主要国一次エネルギー消費量(前年比)(2009-2013年)
↑ 主要国一次エネルギー消費量(前年比)(2009-2013年)

多くの国で薄い青で示されている2009年の値が大きなマイナス値を示している。これはリーマンショック(2008年9月)の直接の影響を受け、産業・消費が停滞、その分エネルギー消費量も減退したのが原因。その反動もあり、2010年以降(赤系統)はそれなりにプラスを示しているが、直近2012年から2013年にかけては息切れしている国も少なくない。

一方で、上記に挙げた中国やインド、さらにはブラジル、インドネシアでは金融不況やリーマンショックの影響も受けず、5年の間ほぼ継続的にエネルギー消費量を増やしている。特に中国とインド、そしてインドネシアはその上げ幅も大きく、絶え間ない伸びを示している。

「エネルギーの消費量」はあくまでも産業・経済の発展を示す指標の一つ。絶対的なものでは無い。例えば他の条件が同じなら、人口が多い国の方が量も大きくなるのは当然の話。また、エネルギーの消費効率(要は無駄遣いしているか否か)でも大きな変化か生じる。単に多ければ良いというものでもない。GDPなどと同等に、一律に扱うのは難がある。今件「一次エネルギー消費量」はそれらを把握した上で、眺めることをお勧めしたい。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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