増えるネットでのニュース需要、ではどのサイトで閲覧されるのか
インターネットの普及浸透に伴い、ネット上でニュースを閲覧する人が増えている。それではどのようなサイト上のニュースが閲覧されているのだろうか。財団法人新聞通信調査会が発表した、メディアに関する全国世論調査の結果から、その実情を確認していく。
該当調査対象母集団(住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって抽出された18歳以上の男女対象、専門調査員による訪問留置法で実施、有効回答数は3270人)では6割強が頻度は問わず、そして毎日ならば3割強がインターネット経由でニュースを閲覧している。
このインターネットニュースの閲覧者に、具体的な閲覧サイトを確認した結果が次のグラフ。大よそ想定できる選択肢「ポータルサイト」「新聞社・通信社公式サイト」「テレビ放送局公式サイト」と、それ以外をまとめて「その他」で提示し、複数回答で答えてもらっている。
Yahoo! Japanをはじめとする検索エンジンなどのポータルサイトに掲載されている、新聞社や通信社などから配信のニュースを読んでいる人がもっとも多く88.6%。次いで「新聞社・通信社公式サイト」が22.3%、「テレビ放送局公式サイト」が8.3%と続く。その他、例えば個人サイトや企業サイト、プレスリリース集約サイトなどでニュースを確認する人は3.4%に留まっている。
ポータルサイトを利用する人がこれほどまでに多いのは、サイト自身の信頼性に加え、多サイトを巡ることなく一か所でまとめて確認できる便利さがポイント。個別の専門店にそれぞれ足を運ぶより、何でもそろうコンビニやスーパーでまとめ買いするのと同じである。
経年別に見ると、「新聞社・通信社公式サイト」は失速、「テレビ放送局公式サイト」「その他」はわずかずつではあるが漸減、そして「ポータルサイト」は漸増している。ポータルサイトにおけるニュースのカスタマイズ性の向上や独自色の強化(個人記者による独自記事の展開、動画の配信など)もまた付加価値と便宜性を高めており、それがニュースチェックの際の対象サイトとして選択する人が増える一因と考えられる。
「その他」以外について直近2014年度分を、回答者の属性別で仕切り分けすると次の通りとなる。
高齢層における、新聞やテレビのような従来型メディア好き、権威を好む傾向は、インターネットニュースの取得元にも反映されている。ポータルサイトでは無く新聞社やテレビ放送局など、リアルな媒体と密接につながりのあるサイトでチェックをする姿勢が見られる。特に70代以上ではテレビ放送局公式サイトを用いる人が2割を超えているのが特徴的。
一方で今件はポータルサイトそのものの機能における利用性向ではないものの、50代以降はポータルサイトを避け、新聞社やテレビ局の公式サイトを重用する動きを示しているのは興味深い。逆に若年層ほどそれら公式サイトを避け、ポータルサイトに集約する動きを示している。
今後はスマートフォンやタブレット型端末の普及が今まで以上に進み、それらを通じたニュース閲覧の需要がさらに増え、お手軽・お気軽で一度にまとめてチェック可能なニュースへの需要がますます増大していくことは、容易に想像できる。インターネット経由のニュース需要はいかなる変化を示すのか。読者という名のシェアの奪い合いの対象となる紙媒体の新聞をはじめ、関連する他媒体のニュース提供の姿勢と合わせ、注意深く見守りたい所だ。
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