日本国民自身が考える、アメリカ以外の日本の安全や平和に貢献しそうな防衛協力・交流相手
日本はアメリカ合衆国との間に日米安保を基に緊密な防衛協力・交流を行っているが、それ以外の国との間にも個々の関係に応じた協力体制を築き、交流を実施している。これらの行為に関して、日本国民自身はいかなる考えを抱いているのか。内閣府が定期的に調査を実施している「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」の最新結果(2015年1月実施、同年3月発表)を基に確認していくことにする。
「回答者が」日本の安全と平和に役立っているか否かの観点で、いかなる判断を下しているかを尋ねた結果が次のグラフ。
国を特定していないこともあるが、大よそ8割強の人は肯定している。役立っていないとの意見は1割足らずでしかない。
それでは具体的にどの国や地域との関係が、日本の安全と平和に貢献していると思われているのか。役立っていると回答した人に限り、複数回答で答えてもらった結果が次のグラフ。具体的名称のみを抽出している。
トップはASEAN(アセアン)、東南アジア諸国連合。具体的にはインドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジアを指す。対中問題で対立を深めている構成国も多く、その観点でも日本との関係強化を模索する動きを示しているのが実情。日本側としてもこれらの国との関係強化はプラスに働くとの考えを持つ人が多いのだろう。
次いで韓国、ほぼ同率で中国が続く。両国とはむしろ軍事的・外交的な緊張感が高まりを示しているとの見方も出来るが、不測の事態に備えるために平時からの連絡強化の類は欠かせないとの視点だろうか。さらに欧州諸国、いくぶん値を落としてオーストラリア、ロシア、インドと続く。ロシアは位置的にはオーストラリアやインド、欧州と比べれば近しいのだが、冷戦時代において長年に渡り敵対関係にあったことも影響してか、少なくとも肯定的な意見は少ない。
これを回答者の世代別に見たのが次のグラフ。
アセアンやオーストラリア、インドへの回答は高齢層ほど高く、韓国や中国に対しても高めの値が出ている。一方で欧州諸国やロシアへは若年層ほど高い値が出ており、西洋は若年・東洋は高齢層との仕切りが出来る形となっている。
今件調査は大よそ3年おきに実施されており、2012年の前回調査(但し問い合わせの文章は「特に、どの国や地域と防衛上の交流を深めていくことが日本の平和と安全にとり役に立つと思いますか。この中からいくつでもあげてください」と微妙に異なっている)の結果と比較したのが次のグラフ。
上昇したのは東南アジア諸国連合、欧州諸国、オーストラリア、そしてインド。下落したのは韓国、中国、ロシア。中でも韓国と中国は大きな下落を示している。この数年間における両国の外交、特に軍事関連の動きを見れば、このような結果が出るのも仕方が無い話なのかもしれない。
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※2015/03/26 21:05 グラフの訂正を行いました。ご指摘ありがとうございました。