ニュースのためのテキスト系メディア、一番読まれているのは紙の新聞? それともネットのニュース!?
一番読まれているのは紙の新聞、次いでポータル提供のニュース
世の中の情勢を知るのに便利なテキスト系媒体の代表格たる新聞は、ネットの登場で大きくその座が揺らぎつつある。多様なネット系テキストニュースサービスと、紙媒体の新聞、読まれている度合い、信頼の置かれ具合について、総務省が2015年5月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成26年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の公開値を基に確認していく。
該当項目では新聞やニュースサイトなど、ニュースを読んでいるテキスト系媒体系の利用状況を尋ねている。紙媒体の新聞以外に新聞社が提供する有料サイト、同無料サイト、ポータルサイトが提供しているニュース配信サービス、ソーシャルメディアが提供しているニュース配信サービス、さらにはキュレーションサービス、そしてそれらのいずれの方法でも読んでいないの選択肢を提示し、複数回答で答えてもらった結果が次のグラフ。映像や音声系のニュースメディアは含まれていないことに注意。
全体では紙媒体の新聞の利用率がもっとも高く62.8%。次いでポータルサイト提供のニュース配信サービス、ソーシャルメディア提供のニュース配信サービス。
世代別に見ると、紙媒体の新聞利用率が歳を重ねるに連れて上昇していくのは、容易に想像のついた通りの結果。60代では10人に9人近くが新聞を読んでいる。同時にインターネット経由のニュース利用が漸減しており、歳と共に「インターネットから紙へ」が進んでいる状況が分かる。
また、新聞社自身が提供するウェブ上のニュースよりも、それらを集約したポータルサイト提供のニュースの方が需要が大きく、多数の人が利用している。他サービスと一緒にまとめて利用できることや、多種多様なニュースの集約で幅広い情報を一括して確認できるメリットが好かれている。
一方、ソーシャルメディアでも付加価値施策の一環として展開を始めている、ポータルサイトと同様のニュース配信サービスの利用者は20代がピークで、それでも約2割。ソーシャルメディアを利用している人の数の割合にほぼ連動する動きだが、ポータル提供ほどの値では無い。ソーシャルメディアを利用する場合は、他人との交流がメインで、ニュースは二の次のようだ。
昨今では大いに注目を集めているキュレーションサービスだが、こちらは全体で5.6%と少なめ。ただし30代までの若年層でいくぶん利用率が高く、特に20代では新聞社提供の無料サイトと肩を並べるほどの利用率を示している。
最多利用をされているのは?
これら新聞・ニュースサイトのうち、どれを一番使っているかを尋ねた結果が次のグラフ。
全体では5割近くが紙の新聞、次いで3割がポータルサイト提供のニュース配信サービス。選択肢内ではいずれも使っていないのが1割強。
世代別動向では20代をピークにポータル提供のニュースが活用され、それ以降は減少。40代以降は紙の新聞をもっともよく利用している人が増え、60代では8割強が紙の新聞を一番使っている。同世代のニュース取得媒体としての紙新聞の利用率は上記グラフの通り87.7%なので、60代は「紙媒体の新聞を利用している人が9割近くで、そのほとんどは『ニュース取得は紙媒体の新聞が一番』と考えている」ことになる。
また複数回答で競っていた20代におけるキュレーションサービスと新聞社提供の無料サイトだが、最多利用率では逆転現象が生じている。ポータルサイト提供のニュース配信サービス同様に、つまみ食い的、ダイジェスト的なニュース取得スタイルをメインとしていると見れば良いのだろう。
新聞社自身のニュースサイトは有料版・無料版を問わず利用率が低い。まとめて一度に確認ができるポータル系サイトのサービスの便宜性に、多くの人が魅力を覚えているようだ。また紙媒体の新聞との利用度合いも合わせ、ニュース取得元の世代間格差が30代から40代を境に発生しているのも目に留まる。
キュレーションサービスの普及やソーシャルメディアの機能充実、ポータルサイトのニュースの活用化など、ニュースにまつわる動きは著しい。来年以降はさらにトレンドの変化が生じるに違いない。
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