メディアへの信頼度は新聞とテレビが高値を維持
新聞やテレビは信頼できるけどネットや雑誌はいまひとつ
実際には個々のメディア内におけるそれぞれの発信元次第で大きく変わるのだが、メディア単位での信頼度が、情報内容の真偽を精査する際に参照されることがある。そこで総務省が2015年5月に情報通信政策研究所の調査結果として発表した「平成26年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の公開値を基に、主要メディアの信頼度を確認していく。
今件項目では主要メディア、具体的にはテレビ、新聞、インターネット、雑誌を挙げ、それぞれについて信頼度の観点で「全部信頼できる」「大部分信頼できる」「半々ぐらい」「一部しか信頼できない」「まったく信頼できない」の5選択肢の中から1つを選んでもらい、そのうち前者2つ、つまり信頼できる派の値を信頼度として提示している。次のグラフはその結果を世代別に連ねたもの。
全体では新聞がトップで、テレビが続く。歳を経るに連れてその両者の値が上昇する傾向にある。インターネットは60代、雑誌は50代以降でやや下がるが、大よそどの世代でも大きな変化は無い。信頼度の観点で、テレビと新聞の2大従来メディアにおける「権威」が今なお絶大なものであることに違いは無い。
インターネットへの信頼度の低さの理由は大きく二つ挙げられる。一つはインターネットそのものを利用していない層が一定数居るため。利用している・していないで大きな差異が生じている。
信頼できないからこそインターネットを利用していない可能性はあるが、利用者と非利用者との間ではこれほどまでの大きな差異が確認できる。
そしてもう一つは「インターネット」という仕切り分けの問題。インターネットの信頼度の詳細においては、ニュースサイトはそれなりに高いものの、ソーシャルメディアとブログ、動画配信・共有サイトではそもそもそのルートでニュースを取得している人が少ないのに加え、取得している人でも信頼性の低さが露呈しており、これがインターネット全体の値を大きく下げている。
全体では高めのテレビや新聞同様、インターネットでも対象となる場所により、信頼度は大きく異なっている。例えば今件では「新聞」とひとまとめにしたが、五大全国紙をそれぞれ個別名で別途挙げ、他に主要地域紙も挙げてそれぞれについて尋ねたら、どのような結果が出ただろうか。
新聞もテレビもネットも、いずれにせよ単なる情報伝達手段に過ぎない、結局は各発信元単位の信頼性の問題と考える必要もあるのだろう。
一年間の信頼度の変化は!?
次に示すのは前年分にあたる2013年分同様調査の結果と今件2014年分を比較し、その変化を算出したもの。
世代別では若年層でのテレビ信頼度の減少と中堅層以降の上昇、インターネットの10代での大幅減少と50代の大幅増加、雑誌の中堅層の増加などが見受けられる。全体としてはこれらが足し引きされ、大きな変化は無いようだ。
インターネットの利用状況別に見ると、インターネット利用者では動きはあまりないものの、新聞がいくぶんの減少、一方で非利用者では雑誌以外の信頼度が大きく上昇している。特にテレビ・新聞といった非デジタル系への信頼度の積み増しが大きく、情報精査において、よりインターネットから距離をおいているようにも見受けられる。
テレビ、新聞、インターネット、雑誌。これらはいずれもメディアには違いないが、テレビや新聞、雑誌がほぼ同時に配信する情報を収集し編集する業界をも意味している一方で、インターネットはインフラそのものを意味し、厳密にはテレビや新聞などとの比較は難しい。
テレビでは個人や少数グループによる不特定多数への配信が不可能、新聞も事実上不可能に近く、雑誌は同人誌などで可能なものの、今件のような調査の際には対象とはされていない。一方インターネットは個人や特定少数の集団による情報配信も可能で、さらにテレビや新聞、雑誌などの他メディアもその情報を置換した上でインターネット上に配信している。
この点を考慮した上で、各種メディアの信頼度は読み解く必要があることを付け加えておかねばなるまい。
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