50代まではスマホが優勢…携帯電話を使ったインターネット利用状況
50代まではスマホ優勢、60代で従来型へ
携帯電話の主流は従来型からスマートフォンへとシフトしつつあるが、年齢属性による明確な利用傾向の違いが確認されている。その実情を総務省の「通信利用動向調査」から確認していく。
次以降に示すのは、「モバイル系端末(従来型携帯電話以外にスマートフォンを含み、タブレット型端末は含まない)」に限定した「インターネットの利用率」。また各値は全体比(未回答者除く)における値。例えば「全体の従来型携帯電話のみの値は14.6%」とあるが、調査対象母集団全体(6歳以上。携帯電話保有者やインターネットの利用者限定では無い)の14.6%が、過去一年間においては従来型携帯電話のみでインターネットを利用した経験があることになる。参考までに一年前のデータによる同様のグラフも併記しておく。
若年層におけるスマートフォンの浸透ぶりが目に留まる。13~19歳では従来型携帯電話と併用している人も合わせると71.4%と7割強。そして20代になると従来型携帯電話からの乗り換え(かつそのまま併用)をしている人も合わせ、9割近くに達する。昨年のデータと比べても、さらなる伸び。
30代以降は従来型携帯との併用も合わせ徐々にスマートフォンのネット利用者は減り、60代後半になると2割を切る。また、従来型・スマートフォンの利用率の転換点は60代と50代の境目。表現を変えれば、60代以降の「携帯電話によるインターネット」は「従来型携帯電話」経由メインであって「スマートフォン」メインでは無い。
2013年末分と比べると、中堅層以降のスマートフォン利用者の加速、さらには従来型の併用者の減少が確認できる。新型機のラインアップはほとんどがスマートフォン、従来型は入手する機会すら得られない場合もある。併用するメリットもあまり無く、コストばかりかかるとなれば、スマートフォン1つに利用を絞り込むのも道理である。
高年収世帯ほど利用率もアップ
次に示すのは所属世帯の年収別利用性向。年収が高くなるほどモバイル系端末によるインターネット利用率は増加する。
多くの人が実体験しているように、従来型携帯電話よりスマートフォンの方がランニングコストは高くつく。昨今、スマートフォンに近い機能を持ち、従来型携帯電話に近い料金プランを活用できる「ガラホ」に注目が集まっているのも、ランニングコストによるところが大きい。低年収の方がやりくりが厳しくなるため、スマートフォンまで手が出せない状況が確認できる。
年収が一定ラインに達すると、スマートフォン「のみ」の所有率はさほど変化が無くなり、従来型携帯電話との併用が増え、これが全体的な利用率を漸増させる要因となる。もっとも、従来型携帯電話の利用率(併用者との合算)が高年収ほど高めに出るのは、高齢層ほど高年収で、同時に従来型携帯電話の利用率が高い現状も一因である。
世間一般のイメージは「従来型携帯電話=古い、前世代」「スマートフォン=新しい、新世代」。企業の戦略もそれに従う形で、全面的にスマートフォンをプッシュしている。携帯電話事業者による季節ごとの新商品ラインアップは、そのほぼすべてがスマートフォンで占められている。
しかしタッチパネルの操作問題や、スマートフォンが「携帯電話」としてよりはむしろ「パソコン」に近いツールであることから、シニア層へのトラブルが懸念されるのも事実。また、利用スタイルの上で、現在のスマートフォンのような高・多機能は必要なく、その実装にかかるコストの負担は大きすぎるとの意見も少なくない。
昨今では「ガラホ」も登場し始めている。従来型携帯電話の利用層の需要を満足させるものであれば、今後は従来型携帯電話の需要層がガラホにシフトする動きも見られよう。
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