ソーシャルメディアの常識、非常識は世代で大きく認知度が異なる
携帯電話、特にスマートフォンの普及とソーシャルメディアの利用率の向上は、情報の伝達、意思疎通の観点で、人類史上かつてない領域へと人々をいざなうこととなった。その急速な進展ぶりに、少なからすの人はこれまでの常識との整合性に戸惑い、肯定を躊躇し、あるいは実感として習得することができず、結果としてトラブルに対面してしまう。今回は総務省が2015年7月に発表した最新版「情報通信白書」で用いられている調査「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」の結果を元に、ソーシャルメディアの特性・利用上の常識に関する認知度を、世代別に確認していくことにする。
次に示すのは現時点におけるソーシャルメディア(LINEも含む)の特性や、利用の際に留意しておかないとトラブルに巻き込まれそうな常識の類。それらについて認知しているか否かを尋ね、回答者の世代別に認知率をグラフ化したもの。要はソーシャルメディア利用上の注意・常識・暗黙の了解をどれほど知っているかである。
大よそ若年層の方が注意事項をよく知っている。双方のグラフは比較がし易いよう縦軸は揃えてあるが、奇妙なことに全項目で世代別の認知度の値に大きな差が出ていない。要はこれらの特性はほぼ横並びの重要性を有しているのだろう。
どの設問でも20代は7割前後、30代から40代は5割前後、50代は4割前後、60代以上は3割前後。また世代別の仕切り分けとしては20代が飛びぬけ、30代と40代がほぼ並列、50代と60代はそれぞれ1段階ずつ落ちていく傾向を示している。見方を変えればソーシャルメディアの利用上の注意に関して、20代以下は7割以上が知っているのに対し、60代以上は3割程度でしかない。
世代別人口構成比はともかく、インターネットの利用率やソーシャルメディアの利用率は高齢層ほど低いため、ソーシャルメディアの利用者「数」は高齢層ほど少なくなる(今件はソーシャルメディア利用者限定の比率であることに注意)。しかしそれでもある意味ハイリスク者が一定数いることに違いは無く、大いに留意が必要となる。
同時に若年層ほど「面白ければ良い」との意志も強く、これらの特性を認知していても、やってはいけないこと、やるべきではないことへの魅惑には勝てず、羽目を外してしまうことも少なくない。
いわゆる「炎上案件」と呼ばれるものだが、その際に今件注意事項のような事案が体現化してしまうこともある。
いずれにせよ、自動販売機や水道の使い方、カップヌードルの調理法などと同じく、一度教られれば、大よそ理解はできる内容に他ならない。目先の利益にまどわされ、ついこれらの特性をおざなりにしてしまうこともあるが、くれぐれも注意してほしいものだ。
■関連記事: