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日本は長いか短いか…日米中韓・高校生のネット利用時間の違いを探る

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 多様な機器でアクセス可能なインターネット。その利用時間は……

今やインフラとして欠かせないインターネット。知的好奇心を育てるのにも欠かせないが、利用時間はどの国でも同じだろうか。好奇心旺盛で将来の道しるべを探している最中の高校生における差異を、独立行政法人国立青少年教育振興機構が2015年8月に発表した、日本、アメリカ合衆国、中国、韓国の高校生における生活様式や意識に関する調査報告書「高校生の生活と意識に関する調査報告書~日本・米国・中国・韓国の比較~」から確認していく。

今調査は2014年9月から11月にかけて日本、アメリカ合衆国、中国、韓国の高校生に対して集団質問紙法によって行われたもので、サンプル数は各国で1560から2518。

調査対象母集団に対し、平日に一日平均どれ位インターネットを利用しているかを尋ねた結果が次のグラフ。調査票の限りではアクセス端末は制限しておらず、パソコン以外にスマートフォンなども(回答者が「インターネットを利用している」と認識している限り)該当する。また利用目的も問われていないため、電子メールの利用やブラウザによるサイトの閲覧、ゲームやソーシャルメディアへのアクセスも該当する。

↑ 平日、一日当たりのインターネット利用時間(学校の授業での使用をのぞく)(2014年、高校生)
↑ 平日、一日当たりのインターネット利用時間(学校の授業での使用をのぞく)(2014年、高校生)
↑ 平日、一日当たりのインターネット利用時間(学校の授業での使用をのぞく)(2014年、高校生)(概算平均、時間)
↑ 平日、一日当たりのインターネット利用時間(学校の授業での使用をのぞく)(2014年、高校生)(概算平均、時間)

今調査ではアクセス端末の利用・所有の有無は尋ねていない。「ほとんど利用せず」がアクセス端末を利用できない立場にあるのか、(平日の)使用は意図的にしていないのかまでは確認ができない。最大で「ほとんど利用せず」の回答率までが、各国の高校生における「インターネットを利用していない人の割合」となるが、中国以外は1割前後でしかない。またその中国も2割を切っており、今回調査の各国では高校生の大部分が何らかの形でインターネットにアクセスできる環境下にあると考えられる。

利用時間だが、一目でアメリカの長さが分かる。2時間以上が実に6割を超えている。6時間以上が2割近く。日本は平均2時間ほどで、2時間以上の利用が4割。韓国と中国は平均値を算出するとほぼ同時間(1時間40分強)となる。

それではこのアクセス時間において、高校生たちは何をしているのか。主要サービスを例示し、3つ挙げてもらった結果が次のグラフ(設問の限りでは学校利用の有無が記述されていないので、学校での利用も含む。そのため、上記グラフで「ほとんど利用せず」の回答者も、何らかのサービスを選択している可能性がある)。

↑ インターネットで主に何をしているか(高校生、2014年、3つ選択)
↑ インターネットで主に何をしているか(高校生、2014年、3つ選択)

どの国でも一番使われているのはSNS(ソーシャルメディア)。今件調査の定義ではツイッターやFacebook以外にLINEも該当しているので、利用率はさらに底上げされている。次いで音楽視聴が上位についている。日米中韓いずれの高校生も、インターネットを音楽視聴ツールとしてよく使っている。

続く利用状況を示すのは動画視聴。ただし韓国では動画視聴以上にゲームの利用率が高い。韓国をのぞけば高校生のネット利用目的は「ソーシャルメディア、音楽視聴、動画視聴」が主なものとなり、他人とのコミュニケーションやマルチメディアのエンタメツールとして、インターネットを活用していると理解してよい。

今件項目では「主なものを3つ選択」とあるので、他の選択肢の回答率はさほど高くないが、それらの目的ではまったく使っていないわけではない。優先順位が低いだけに過ぎない。

ちなみに各国の利用状況を上位順で並べると次の通り。

・日本…SNS、音楽、動画、ゲーム、ニュース

・米国…SNS、音楽、動画、勉強用の調査、ゲーム

・中国…SNS、音楽、動画、ゲーム、勉強用の調査

・韓国…SNS、音楽、ゲーム、動画、ニュース

高校生に限った話だが、それぞれの国のインターネット上のコンテンツに対する需要の違いが見えて留意に値する結果に違いない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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