若者にとってのニュースはテレビやニュースサイトが情報源
若者もテレビが一番、ニュースサイトが二番
多種多様な情報がさまざまなツールによって行きかう情報化社会。世の中の動きに敏感な若年層は、どのようなルートを通じてニュースを取得しているのだろうか。連合が2015年8月に発表した若者の関心と政治や選挙に対する意識に関する調査(15歳から23歳対象、インターネット経由)の結果から確認していく。
次に示すのは調査対象母集団において、普段どのようなツール、媒体から世の中の動きを知っているか、ニュースとしての情報を取得しているかを尋ねたもの。
もっとも多くの人が使っている、ニュース取得のためのツールはテレビ。82.6%と8割以上の人が普段から使っている。利用頻度が低い人は回答の時点では除外していることを考慮すると、ほぼすべての人がテレビでニュースを観ていると判断しても良い。
次いで多いのはニュースサイトで5割。今件がインターネット経由の調査であることを配慮する必要はあるが、若年層のネット利用率がほぼ100%であることから、これもまた若年層の実情そのものと認識しても問題では無い。
興味深いのはニュースサイトとほぼ同率にSNS(今件の場合はFacebookやmixi、ツイッター、さらにはLINEなどまで合わせた、コミュニケーションに特化した、メイン機能の実装されているソーシャルメディアの意味)が挙がっていること。若年層にはニュースの取得元として、ニュースサイトとSNSがほぼ同列の立ち位置のようだ。
続いてインターネット検索(≒そこから連なる形で検索結果として表示される各サイト)が続き、対面取得元として親との会話が入ってくる。親、友人・知人などは、ニュースの情報源としてはあまり重要視されていない。
他に気になる回答率といえば、まとめサイトやニュースアプリと新聞の関係。少なくとも今調査では、若年層にとってまとめサイトやニュースアプリの類は、ニュース取得の観点では新聞よりも価値ある存在として認識されている。
女性は多様な方面からニュースを取得する
続いていくつかの仕切り分けをした上での動向確認。まずは男女別。
情報取得に係わる調査では往々にして男性よりも女性の方が、多方面のルートを用いる傾向がある。今件でもそのパターンに従う形で、多くの項目で男性よりも女性の方が高い回答率=利用率を示している。特にテレビやSNSでは大きな差が見受けられる。
親、友人知人、兄弟姉妹、学校の先生のような、直に対面しての語りからのニュース取得もまた、女性の方が回答率は高い。ニュースと認識しての会話をしているからなのか、そもそも論として会話そのものに積極的なのかまでは判断できないが、女性が男性と比べて口コミ(の聴く部分)に長けている、好んでいることを表していると解釈できよう。
続いて現在の立ち位置別。「その他」の具体的説明は無いが、(就職)浪人生、花嫁修業中などが想定される。
テレビはどの立ち位置でも高い値を示しており、汎用性の高さを再確認させる。他方同じ上位陣でもニュースサイトは大学生をピークとして高校生ではやや低め、SNSやインターネット検索も大学生がピークなど、大学生は多様な経由でインターネット上からニュースを取得していることがうかがえる。まとめサイトやニュースアプリも、大学生がもっとも使っている点は注目したい。
ソーシャルメディアに絡んだ動きを見ると、SNSは大学生が一番高いものの、高校生や有職者もそれなりに高値をつけている。しかしSNS以外のソーシャルメディア(例えばブログや掲示板)は若年層と思われる仕切り分けほど低い値に留まっており、ニュースに限らずソーシャルメディア全体としてのトレンドのシフトが起きている(ブログなどの旧来型のソーシャルメディアを使わずに、SNS形式を多用する)との他調査の結果を裏付ける動向が見受けられる。
世の中に広まる情報、世の中の動きを知る情報はニュースに限った話ではないが、速報性や注目度の上では、やはりニュースが一番となる。他方、その重視される点を悪用する形で、誤情報や煽動する情報を呈し、集客を模索する事例も多数見受けられる。ゼロか1かで仕切り分けできる類のものではないが、世の中の動きを知る際には、見聞きした情報の確からしさを思い返すクセをつけてほしいものである。
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