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日々の生活で必要なお店や施設、歩きや自転車で行ける距離なら何が必要?

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ スーパーマーケットは特にないと困る類のお店

スーパー、コンビニ、病院は三大「無いと困る」施設

日常生活を営むためには多種多様なお店での買い物、施設でのサービス受領が必要となる。利用頻度が高い場合、距離が近いにこしたことは無い。それでは具体的にどのような店・施設を「身近に無いと困る」と認識しているのだろうか。内閣府が2015年10月に発表した、国土形成計画の推進に関する世論調査の結果を元に確認していく。

次に示すのは日常生活を営む上で、自宅から徒歩や自転車で行ける範囲に最低限必要と認識している施設を挙げてもらったもの。回答者のライフスタイルや就業状況、年齢などで大きく変化するが、それらをすべてまとめた平均値としての値となる。

↑ 日常生活を営む上で自宅から徒歩や自転車で行ける範囲に最低限必要とする施設(複数回答、2015年8月)
↑ 日常生活を営む上で自宅から徒歩や自転車で行ける範囲に最低限必要とする施設(複数回答、2015年8月)

最多回答率はスーパー、そして小売店舗・コンビニが続く。要は食料品を中心とした日用品を調達できる店が無いと困るとする意見。そして病院、郵便局、銀行などの公共サービス機関が続く。

小中学校は自分に子供が居れば必要不可欠。保育園や介護・福祉施設も回答者の状況次第で必要になる。広場、公園、緑地は娯楽施設的な立ち位置での重要性。

これを男女別に見たのが次のグラフだが、大よそ女性の方が高い回答率を示している。

↑ 日常生活を営む上で自宅から徒歩や自転車で行ける範囲に最低限必要とする施設(複数回答、2015年8月)(男女別)
↑ 日常生活を営む上で自宅から徒歩や自転車で行ける範囲に最低限必要とする施設(複数回答、2015年8月)(男女別)

二人以上世帯の場合は家事に従事することが多い女性の方が、日々の生活を支える施設の必要性を強く認識しているのだろう。特にスーパーや病院、郵便局は男性との差が大きい。他方コンビニは男性の方がより強い必要性を認識しており、行動性向の違いがすけてみえる。

歳で差が出る必要施設

これを回答者の年齢階層別に仕切り分けしたのが次のグラフ。

画像
↑ 日常生活を営む上で自宅から徒歩や自転車で行ける範囲に最低限必要とする施設(複数回答)(年齢階層別、一部)
↑ 日常生活を営む上で自宅から徒歩や自転車で行ける範囲に最低限必要とする施設(複数回答)(年齢階層別、一部)

歳を経るに連れて回答者自身、周辺の人間関係の変化に伴い、必要とされる施設が変わっていくようすが分かる。年上になるとコンビニよりはスーパーを選ぶようになり、病院や郵便局への重要性が増してくる。教育機関は子供が成長したり親離れをするので要らなくなるが、病院や診療所は必要性が増加する。また昨今では特に周辺住民とのあつれきが問題視される保育園・幼稚園などは見事なまでに「子供が居る世代」ほど必要性が高く、年上になるに連れて必要性が低下する。

利用頻度がさほど高くない施設は、年齢による差異もさほど出ていない。娯楽系施設は利用頻度はそれほどではないので、身近な必要は無いとの認識なのだろう。

なお今件項目はあいまいな形で「自宅から徒歩や自転車で行ける範囲」とのみ説明しているが、歳を経れば当然歩行による移動可能距離は短くなり、自転車の利用も困難になる。これらの施設への要望もまた、歳と共に「もっと近くへ」「もう少し近所に」が多分に含まれていることも合わせて認識する必要はあろう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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