2/3はスマホ持ち…米国のデジタル機器普及状況
デジタル機器の普及状況では常に先を行く米国。その米国で現在スマートフォンやパソコン、電子書籍リーダーなどはどれほど浸透しているのだろうか。その実情を、同国の民間調査会社Pew Research Centerが2015年10月に発表した調査報告書「Technology Device Ownership: 2015」から確認していく。
次に示すのは直近値となる2015年3月における、米国の大人(18歳以上)におけるデジタル機器の所有状況。設問には「持っているか」とあるので、他人から借りている場合は該当しない。
従来型・スマートフォン双方を合わせた携帯電話所有率は92%。実質的にはほぼ全員と見てもよいだろう。そのうちスマートフォン所有者は67%。複数台所有の事例があるにしても、携帯電話所有者の2/3以上がスマートフォン所有者との計算になる。
パソコン(デスクトップ、ノート双方合わせ)は73%。代替的存在となりうるタブレット型端末はすでに45%と4割を超え、半数に近づきつつある。この区分にはiPadなどの他にKindle Fireも含まれるため、これが大きく貢献しているのだろう。一方で、タブレット型端末の普及もあってか、電子書籍リーダーは2割に届かない状態に留まっている。
娯楽関係では、携帯用ゲーム機(据え置き型)・携帯音楽プレイヤーは共に40%。少ないと見るか多いと見るかは判断に迷う値だが、今件調査は成人対象であり、さらに高齢者も合わせた平均値であることを考えると、5人に2人は多いと見なしてもよいかもしれない。また、据え置き型と比べると携帯ゲーム機の保有率が低めに見える。日本とは実情が逆のようだ。
これを経年推移で見たのが次のグラフ。各端末ごとに調査が行われた年月が異なるため、ややばらけた感じのグラフとなっている。また縦軸はあえて両グラフで統一し、比較がしやすいようにしてある。
携帯電話全体はゆるやかだが確実に上昇中。そしてスマートフォンの急激な上昇ぶりを見るに、中身が多分に従来型からスマートフォンに移行していく実態がうかがえる。パソコンは横ばいから漸減の動き。もっともこの程度ではまだ誤差の範囲であり、減少には至っていない可能性は高い。他方タブレット型端末もスマートフォン同様に順調な普及ぶりを示している。
エンタメ色の強い端末では、いずれもほぼ横ばい。直線部分が多いのは、調査そのものの回数が少ないからであり、ぶれによる傾斜の可能性もある。むしろ気になるのは電子書籍リーダーの動向で、1回前の調査(2014年1月)における32%から、直近(2015年3月)において19%と大幅に下落してしまっていること。誤差にしては少々大きすぎる差異であり、気になる動きには違いない。
上記では電子書籍リーダーの値に関して「タブレット型端末の普及もあってか」と表現したが、タブレット型端末の廉価化が進めば、当然電子書籍リーダーの必然性は下がる。似たような端末を複数所有する意味はさほど無い。この動きが確かなものなのか、さらなる調査結果の発表を待ちたいところだ。
■関連記事: