お正月はおもちなどの窒息事故に要注意・東京消防庁が注意喚起
お正月の料理としては欠かせないお餅(もち)。それをのどに詰まらせて窒息状態に陥る事故が、毎年正月になると多々発生する。東京消防庁では2015年12月に注意喚起を行っている。その具体的内容などを確認していく。
東京消防庁の注意喚起では、2010年~2014年における過去5年間の値(東京消防庁管轄内、以下同)を元に、「餅」及びそれに類する「団子」「大福」など粘り気の強い食品が喉(のど)に詰まったことで生じた窒息事故について解説している。過去5年間では毎年100人以上がこの窒息事故で救急車によって医療施設に運び込まれているが、多くは12月から翌年1月に集中しており、年末年始のお餅料理(磯辺焼き、お雑煮、餡子餅など)に起因していることがうかがえる。なお今件記事では一部過去のデータもさかのぼり、広範囲の期間におけるデータを盛り込んでいる。
この搬送者のうち約7割は「中等症(生命の危険は無いが要入院)」以上で占められており、搬送時の状況が比較的深刻であること、そして搬送人数・症状の度合いは毎年の周知啓蒙活動にも関わらず、共に横ばい状態にある事が分かる。
死亡:初診時に死亡が確認されたもの
重篤:生命の危険が切迫しているもの
重症:生命の危険があるもの
中等症:生命の危険はないが、入院の必要があるもの
軽症:入院の必要がないもの
窒息事故による搬送者の大半は高齢者で、2010~2014年に限れば全搬送者の約9割に達している。
とりわけ70代から80代に多く事案が発生していることが分かる。
東京消防庁では以前の注意喚起で高齢者、そして乳幼児の窒息事故が多い理由に関して「個人差がある」としながらも、
・乳幼児……主に臼歯がなく食べ物を噛んですりつぶすことができないことや、食べながら遊んだりする傾向にあるため、窒息事故が発生しやすい。
・高齢者……一般的に、かむ力や飲み込む力が弱くなり、だ液の分泌量も減少し、食物が詰まりかけた時に咳をする反応が弱いなどの理由により窒息事故が発生しやすくなる。
と解説。そして餅をはじめとした粘着性のある食品による窒息事故を防ぐための注意事項として
・食品を小さく切るなど、食べやすい大きさにする。
・急いで飲み込まず、ゆっくりとよくかみ砕き、だ液と混ぜてから飲み込む。
・介助が必要な人に餅などを食べさせる時は、「横になった状態」「あおむけに寝た状態」では食べさせないようにする。
・食事の際は、お茶や水などを飲んで喉を湿らせる。
・食事中は遊ばない、歩きまわらない、寝ころばない。
・高齢者や介護を要する方は、粥などの流動食に近い食物でも窒息を起こすことがあるため食事の際は目を離さない。
・いざという時に備え、応急手当の方法を習得しておく。
などを挙げている。今件では特に高齢者の餅問題を提起しているが、今後は一人暮らしの高齢者世帯が今まで以上に増加する傾向を見せているため、リスクはさらに増加することが予想される。行政当局は今後増加するこの「高齢者・餅窒息事故」に対し、今まで以上に積極的な姿勢で臨むことが求められよう。
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