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夫婦世帯の買い物はスーパー中心、コンビニは若年世帯ほど多用

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 食品を中心とした雑多な商品を取り扱うスーパー。日々の生活には欠かせない存在

日々の生活を支える食品や消費財の調達先はスーパーやコンビニ、デパートなど多種多様。夫婦世帯における実情を、総務省統計局が2015年12月に発表した「2014年全国消費実態調査」の結果をもとに、金額ベースで確認していく。

次に示すのは二人以上世帯の世帯主の年齢階級別における、消費支出金額の内訳を、購入先で仕切り分けしたもの。要は「どこでどれだけの金額を使ったか」。ちなみに「消費支出」とは税金や社会保険料をのぞいた「世帯を維持していくために必要な支出」を意味する。また「百貨店」は元資料上の区分名で、「デパート」とほぼ同じ形態店舗を意味する。なおグラフ生成の際の各値算出の際には、「その他」を除いた再計算を行っている。

↑ 世帯主年齢階級別の消費支出金額購入先割合(二人以上世帯)(2014年)(参考値:「その他」をのぞいて再計算)
↑ 世帯主年齢階級別の消費支出金額購入先割合(二人以上世帯)(2014年)(参考値:「その他」をのぞいて再計算)

いずれの階層でも「スーパー」を利用する割合が一番多い点では変わらない。しかし他の点ではいくつかの違いが見えてくる。主だったものを箇条書きにすると、

・どの世代でも購入先として「スーパー」「一般小売店」「ディスカウントストア・量販店」の順位は同じ。

・「コンビニ」は若年層ほど多く利用している。

・「ディスカウントストア・量販店」も若年層の方が利用率は高い。商品運搬時の労力が関係しているものと考えられる。また大量の商品を一度に必要としない(消費量が少ない)のも一因だろう。

・「百貨店」は高齢層の方が利用率は高め。

・「一般小売店」は若年層と高齢層がやや高め。

・「スーパー」は高齢層ほどよく使う。

・「ネット通販」は若年層ほど、「ネット以外の通販」は高齢層ほど利用率が高い。

などが挙げられる。

「ディスカウントストア」は日本国内では1990年以降に領域の拡大を始めている(大店法の規制緩和、独禁法絡みの問題、消費者の消費性向の変化)ことから、回答者の人生に占める「ディスカウントストアの存在を知っている期間の割合」の長さもまた、利用率に左右しているものと考えられる。「ディスカウントストア」が無かった、認知されていない時代は「一般小売店」が主に利用されており、その利用が長期間に渡っていると、新たな存在「ディスカウントストア」へはなびきにくい次第である。

一方、注目したいのは「コンビニ」の項目。若年層ほど利用割合が高いものの、30歳未満でも5.4%でしかない。これは単身世帯で同様のデータを参照した時の値(「その他」を除いて再計算した場合、男性30歳未満で15.4%、60歳以上でも7.3%)と比べると、かなり小さい値となっている。

↑ 年齢階級・性別の消費支出金額購入先割合(単身世帯)(2014年)(「その他」を除いて再計算)
↑ 年齢階級・性別の消費支出金額購入先割合(単身世帯)(2014年)(「その他」を除いて再計算)

やはり二人以上の世帯ともなると一度の買い物における購入量も多くなるため、「まとまった量を購入できる」「安上がりで済む」ことが優先される。その観点で「コンビニ」は敬遠されてしまうのだろう。

また、今件は「世帯の」家計であるのも一因。単身世帯では個人の金銭勘定と世帯の勘定はほぼ同一だが、二人以上世帯では構成員一人一人の勘定と世帯全体のとは別物となる。個人の買い物として購入する商品が多いコンビニでは、どうしても世帯単位の計上金額は小さなものとなってしまう次第である。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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