高校生で未処理の虫歯持ちは2割強…子供達の虫歯の現状を探る
様々な細菌により歯が溶け欠損するう蝕で生じるう歯(虫歯)。老若男女を問わず悩まされる病気の一つで、子供は特に歯の特性から虫歯になりやすい。その子供達の虫歯の現状を文科省の調査「学校保健統計調査」の結果から確認していく。
まずは学校別の比率。「処置完了者」は虫歯を持っていたがすでに治療が終了した人。「未処理歯有の者」は今だ治療していない、あるいは治療中の虫歯がある人。例えば幼稚園児では全体の15.12%が「虫歯だった」、21.11%が「現在虫歯持ち」となる。
中学校で一度虫歯率が減少する、不思議な傾向が確認できる。これは後述の年齢別で明確に判断可能な数字が出てくるが、理由としては「乳歯が永久歯に入れ替わる過程で、虫歯・処置完了の歯もろとも抜けてしまった」が考えられる。実際、各年の報告書でもその可能性を示唆しており、道理の通る解説ではある。
続いてこれを年齢別に細分化した上で確認したのが、次のグラフ。
10歳~12歳までは虫歯率が明らかに減少する。これは乳歯から永久歯に入れ替わる過程で、虫歯まで一緒に抜けてしまうのが主要因。しかしせっかく歯の入れ替えで下がった虫歯率も、17歳までにはほぼ元に戻ってしまう。そして一度生えた永久歯を乳歯の時と同じように抜いてしまうと、再び生えてくることは無いので、「虫歯だから」との理由だけで抜くのははばかられる(無論治療の最終手段として「抜く」選択肢は存在しうるが、生え代わりは無い)。
最後に男女別で現状を確認する。
小学生までは男性の方が虫歯率が高いが、中学生以降はむしろ女性の方が高くなる。中学生以降は男性より女性の方が成長が早いことで知られているが、それが要因だと考えられる。つまり「乳歯から永久歯への生え変わりに合わせ、虫歯ごと抜いてしまう」究極の対策カードを早めに使い果たしてしまう次第である(少々古い話になるが、1988年の日本小児歯科学会の調査結果でも、それを裏付ける「女子の方が歯の生え変わりは早い」との結果が出ている。「乳歯から永久歯への生え変わりと「男子より女子の方が早く生え変わる」との話」)。
思った以上に高いように見える虫歯率だが、実はこれでも経年データで見ると、かなりの減少傾向を見せている。幼稚園児では9割超の値を見せる年もあったほど。
つまりその当時は、幼稚園児が10人いたらそのうち9人はその時点では虫歯だったことを意味する。直近2015年度では15.12%。随分と医療・予防技術も進んだものだ。
■関連記事: