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高校生の3割は「食事の最中でもスマホが気になる」…子供達のスマホ熱中度

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 食事中もしばしばスマホに。こんな情景も珍しくない?

「暇な時にはスマホを操作」高2は過半数

多彩な機能を発揮する携帯電話、特にスマートフォンには子供達も夢中になり、寝食を惜しんで操作をするのではと親も心配になる。その実情はどれほどのものか。少年教育振興機構が2016年5月に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」(2015年2月から3月にかけて各学校(小学校は1年から6年まで各100校ずつ、中学校は2年生対象に150校、高等学校は2年生対象に150校)への調査票発送・返信による回収方式で実施。有効回答数は学校数が851、子供の回収数が18031件、保護者が15854件)報告書の結果をもとに確認していく。

次に示すのは回答者学年別の、手持無沙汰の時には携帯電話(今件グラフ中では従来型携帯電話)やスマートフォンを操作しているか否か、その度合いを答えてもらったもの。該当学年の人全員に答えてもらっているため、携帯電話やスマートフォンを所有していない人は当然「まったく無い」の回答になる。

↑ 特にすることがない時、とりあえず携帯電話やスマートフォンを操作している(2014年度)
↑ 特にすることがない時、とりあえず携帯電話やスマートフォンを操作している(2014年度)

それなり以上に認識している、回答率の着色では赤系統に属する部類では、小学4年は2割少々。携帯電話やスマートフォンそのものの所有率とも連動している。そして学年が上がるに連れてスマートフォンなどの所有率が上がり、利用・傾注度も上昇するため、「まったく無い」の割合の減少だけでなく、「よくある」の回答率も上昇していく。

例えば小学4年の時点では「よくある」「時々ある」「ほとんど無い」合わせた回答率、大よそ所有者であると想定できる割合は23.2%で、そのうち「よくある」は8.2%、想定所有者の1/3強。ところが高校2年では想定所有者は94.3%でそのうち「よくある」は52.0%となり、想定所有者に占める比率は55%にまで上昇する。利用制限や子供自身の慣れ、知識の増加などさまざまな要因によって、利用者の中でも傾注度が増し、「暇な時にはまずスマホ」状態となる人の割合が増加している。極度な利用状況となれば、スマホ中毒とすら呼ばれるかもしれない。

男女別に仕切り分けし直した結果が次のグラフ。

↑ 特にすることがない時、とりあえず携帯電話やスマートフォンを操作している(2014年度)(男女別)
↑ 特にすることがない時、とりあえず携帯電話やスマートフォンを操作している(2014年度)(男女別)

小学5年までは男女差はほとんどないが、小学6年からは女子の方が「よくある」、そして「時々ある」まで含めた「暇な時にはまずスマホ」への行動の認識がある人の割合が増加していく。高校2年になると「よくある」の回答率は男子が45.9%なのに対し、女子は57.8%にまで達している。女子は男子と比べてソーシャルメディアの利用率が高いことから、「何か新しい情報は無いか、やりとりがおこなわれていないか」と気になる人も多いのだろう。

食事中でもスマホが気になる子供の割合は

食事や団らんの際においても、スマートフォンなどの操作をしたくなる、ゲームやソーシャルメディアの動向が気になる人はどれぐらいいるだろうか。

↑ 食事中やだんらん中でも携帯電話やスマートフォンが気になる(2014年度)
↑ 食事中やだんらん中でも携帯電話やスマートフォンが気になる(2014年度)

何もすることがない時の操作性向と比べれば低い値ではあるが、年齢が上になるほど「よくある」、さらには「時々ある」まで含めた肯定的回答者の比率は高くなる。所有率も影響要素ではあるが、注力度の上昇も一因には違いない。高校2年では3割もの人が、食事や団らん中でもスマートフォン上でのサービスの動向が気になり、できれば操作してチェックをしたいと考えている。

男女別に見ると、やはり小学6年あるいは中学2年あたりから、女子の方が肯定的回答者の割合は高くなる。

↑ 食事中やだんらん中でも携帯電話やスマートフォンが気になる(2014年度)(男女別)
↑ 食事中やだんらん中でも携帯電話やスマートフォンが気になる(2014年度)(男女別)

「暇な時にはまずスマホ」と比べると差異は小さいものの、やはり女子は男子よりもスマートフォンへの傾注度が高そうだ。

食事の時のスマートフォン操作に関して、行儀が悪い、操作のために食事を中断することになるので非とするか、それともテレビ視聴と同じようなものだから是とするかは、それぞれの世帯の教育方針次第であり、一概に善悪を問うことはできない。それこそ「テレビを観ながらの食事は是か非か」と類する問題でもある。

今件は現状として、小中高校生が携帯電話、多分にスマートフォンにどこまで熱中しているか、他の生活行動の中にスマートフォンの影響が及んでいるのか、それを知る一つの資料として見れば良いだろう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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