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小中高校生のパソコンやタブレット型端末の所有実態

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ パソコンを持っている子供達はどれほどいるのか

パソコン持ちは小学生では1割強、中学生では2割近く

最近ではスマートフォンにおかぶを奪われつつあるものの、パソコンは今でもデジタル機器、インターネットアクセス用端末として欠かせない存在。子供達にはどの程度浸透しているのか。少年教育振興機構が2016年5月に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」(2015年2月から3月にかけて各学校(小学校は1年から6年まで各100校ずつ、中学校は2年生対象に150校、高等学校は2年生対象に150校)への調査票発送・返信による回収方式で実施。有効回答数は学校数が851、子供の回収数が18031件、保護者が15854件)報告書の結果をもとに、その実情を確認していく。

次に示すのは自分用(自分一人が使うもの。家族との共用、保護者所有で子供が利用させてもらうこともあるケースは除外する)として、パソコンを持っているか否かを尋ねた結果。高校2年の時点では18.2%の人が自分のパソコンを有している。

↑ 自分用としてパソコンを持っているか(2014年度)
↑ 自分用としてパソコンを持っているか(2014年度)

小学生は学年が上がるに連れて値も増えるが、それでも数%でしかない。小学6年生でようやく2.5%。しかし中学2年になると急に所有率は上昇し、13.1%となる。そして高校2年では18.2%。見方を変えると、高校2年ですら8割以上は自分のパソコンを持っていない。

これを男女別に見たのが次のグラフ。

↑ 自分用としてパソコンを持っているか(2014年度)(男女別)
↑ 自分用としてパソコンを持っているか(2014年度)(男女別)

大よそ男子の方が所有率は高い。小学6年で差異は大きくなり、高校2年では8%ポイント近い差が生じる。従来型携帯電話・スマートフォンは女子の方が概して所有率が高いことから、保護者も子供自身も、パソコンなどより従来型携帯電話・スマートフォンの方を好むようだ。

高校2年では男子で22.2%の人がパソコンを持っている。使いこなせているか否かはまた別だが、男子でも8割近くはパソコンを所有していないことになる。

意外に高いタブレット型端末所有率

続いてタブレット型端末。設問では単に「タブレット端末(iPadなど)」とのみ説明されており、回答者がタブレット型端末と認識したものすべてが該当する。子供向けの教育用タブレット型端末、さらにはキンドルなども一部回答には含まれている可能性はある。

↑ 自分用としてタブレット型端末を持っているか(2014年度)
↑ 自分用としてタブレット型端末を持っているか(2014年度)

小学1年の時点ですでに5%近い所有率。学年が上がるに連れて値も上昇し、小学6年では13.4%と1割を超える。パソコンよりも高い所有率で、スマートフォンや従来型携帯電話をのぞけば、小学生界隈ではパソコンではなくタブレット型端末こそが、デジタル機器、インターネットの窓口として主流となる。

ピークは中学2年生。実に3割超えが所有している。高校2年になると値は急激に落ちて小学6年生レベルの1割強にまで落ち込むが、これは多分にスマートフォンに利用がシフトしているのが原因。

男女別に見た結果が次のグラフ。

↑ 自分用としてタブレット型端末を持っているか(2014年度)(男女別)
↑ 自分用としてタブレット型端末を持っているか(2014年度)(男女別)

小学生では女子の方が所有率は高いがさほど違いは無い。ただし小学6年で男女の上下が入れ替わり、それより上になると男子の方が高い所有率を有するようになる。これも多分にスマホシフトの影響。また、パソコンのように多様な機能を使えることから、デジタル系への好奇心の強弱が影響しているのかもしれない。

他調査でも小学生から中学生におけるタブレット型端末の所有率の高さが示されていたが、今件はそれを裏付ける結果に違いない。子供自身の操作の点で画面の大きさによる使いやすさに加え、保護者にとっては子供用の玩具的なツールとして、スマートフォンよりも対処しやすい、管理しやすいように見えるのだろう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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