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節約しても足りないサラリーマンのおこづかい、その時の対処法は!?

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 何度計算しても予算不足の事実は逃れられず。ではどうするか……

多くのサラリーマンにとってこづかいはもっとも身近で、自分自身に大きな直接的影響を与える金銭問題。そしてその額は大抵一定に定められ、自在に決められるものではない。出費がかさむ、高額だが欲しいものがある場合、まずは節約することになるが、それでもかなわないこともある。その場合、どのようにしてその資金をねん出するのか。サラリーマンのおこづかい事情を調査した定点観測の報告書の最新版にあたる「2016年サラリーマンのお小遣い調査」(2016年4月8日から13日にインターネット経由で実施。有効回答数は2353人。男女正規就業者に加え、男女パート・アルバイト就業者も含む。会社員(正社員以外に契約・派遣社員も含む)は男性1047人・女性789人。世代構成比は20代から50代まで10歳区切りでほぼ均等割り当て。実社員数、人口数をもとにしたウェイトバックはかけられておらず、全体値では実情と比べて偏りを示している場合がある)などを元に確認していく。

節約しても対応しきれないこづかい不足が生じた場合、どのような対応をサラリーマンの人たちは取るのだろうか。もっとも多くの人が同意を示した対策は「使わずに我慢」だった。歳を経るほど値が落ちるが、大体6割強の人が「こつがいが足りない時は我慢して使わない」と答えている。

↑ こづかい不足の際のねん出方法(複数回答)(2016年)
↑ こづかい不足の際のねん出方法(複数回答)(2016年)

「使わずに我慢」は数年ほど前の景況感の悪化時には、増加の傾向を示していた。こづかい面では「サラリーマン」ならぬ「ガマ(ン)リーマン」的な状況だったといえる。もっと、減少に転じた昨今でも他の項目と比べれば、群を抜いて高い値を示していることに違いは無い。

次いで多いのは「預貯金の取り崩し」「家計からねん出」。不足理由次第だが、一時的な出費、突発事項による不足の場合(例えば友達の結婚式への招待を受ける)ならば、それも仕方あるまい。一方で似たような一時的補完の手段として、自前のお金以外からの調達となる「クレカ利用」で、50代が突出して高い値を示しているのが気になるところ。

2013年調査分から項目に加わった「副収入」(ポイントサイト、株式投資、FXやネットオークションなど。2016年分では「アルバイト」は別項目として分離している)は6.1%。ねん出できる点で、意外に多い。これらの手段は必ずしも「収入」が手に入るとは限らないからだ。むしろさらにこづかいが減る可能性も十分にある。

このねん出方法の上位陣、気になる項目につき、経年変化を見たのが次のグラフ。

↑ こづかい不足の際のねん出方法(サラリーマン、上位5位変移、複数回答)(~2016年)
↑ こづかい不足の際のねん出方法(サラリーマン、上位5位変移、複数回答)(~2016年)

「預貯金の取り崩し」「家計からねん出」「クレカ利用」のような、他方面から融通する方法は中期的に減少している。一方で「使わずに我慢」は2、3年ほど前までは大きな上昇を示した。この上昇が始まった2011年は、こづかい額が大きく減少した2010年の翌年にあたり、こづかい実額の大削減を受けて、サラリーマンにおいて心境の大きな変化が生じたことを示している。具体的には「やりくりしてもどうにかなる額ではないので、あきらめよう」といったところか。今年2016年は前年に続き減少しており、心理面でややポジティブな動きが生じてきたと評価できる。とはいえ、まだ他項目と比べて高い値に違いは無い。

出費上の我慢は浪費を防げるとの考え方もできるが、同時にストレスは溜まる。浪費を奨励するわけではないが、6割強が「足りなかったら我慢する」との状況は、健全か否かについて判断に苦しむレベル。見方を変えればこの値が、2010年当時の50%台にまで低下すれば、サラリーマンのおこづかい事情も改善の兆しが見えてくる、ところだろうか。あるいはサラリーマンの心情そのものに大きな変化が生じ、この値は上値のまま半固定されてしまうかもしれないが。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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