おひとりさまは女性が圧倒的に多い高齢者世帯の実情
高齢化が進む日本では高齢者の一人暮らしも増加している。特に寿命が長い女性の一人暮らし世帯は急上昇。その実情を、2016年7月に厚生労働省が発表した「国民生活基礎調査の概況」の公開値から探る。
今回対象とする世帯は「高齢者世帯」と呼ばれているもの。具体的には「65歳以上(高齢者)のみで構成されている、あるいはこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯」を指す。この「高齢者世帯」の具体的な世帯数推移を示したのが次のグラフ。直近データの2015年においては、男性のみ世帯数が1.00とすると、女性のみ世帯数は2.20、夫婦(共に高齢者)のみ世帯が3.07の割合となっている。なおグラフ中の注記は無いが2012年分は福島県では未調査となっているため、その分の値は除外されている。
この30年近くの間(1986~2015年)に「高齢者世帯数」そのものは5.38倍、男性のみの単独世帯に限れば7.93倍にまで増加した計算になる。増加率は男性単独世帯の方が大きいが、絶対数は女性単独世帯の方が2.20倍ほどで、429万2000世帯にも及ぶ。これはひとえに女性の方が寿命が長いことによるものである。特に「夫婦のみ世帯」で配偶者に先立たれ、単独世帯になる人において、その傾向が強いと容易に想像できる。
女性の長寿命を別の視点で確認できるのが次のグラフ。男女それぞれの高齢者単独世帯における、年齢階層構成比を示したものだが、明らかに男性よりも女性の方が高齢化が著しい。
例えば80歳以上で区切ると、男性は25.8%・女性は39.8%と、14%ポイントの開きがある。独り暮らしをしている高齢者のうち、男性は4人に1人・女性は5人に2人が80歳以上と表現を変えてみると、一人暮らしのお年寄りのリスクの高さが改めて認識できる。
高齢者世帯の増加に伴いバリアフリーに関する問題、「買物困難者」に代表される社会生活上のインフラの対応、そして健康管理など、多種多様な問題が表面化し、トラブルの増加が容易に想像される。各種対策が急務であることはいうまでも無い。
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