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通話に写真に情報交換、中高生はスマホや携帯をどのような時に使っているのか

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 学校からの帰り道でもスマホとにらめっこ。何の機能を使っているのか

子供の界隈にも急速に普及しつつある携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォンの双方。以下同)。多種多様な機能を実装し、ウェブ経由・アプリの利用でさらに多彩な用途への活用を可能とする。子供達はそれをどのような場面で用いているのだろうか。今回は金融広報中央委員会「知るぽると」が5年おきに実施している、小学生から高校生を対象にした金銭に係わるさまざまな問題を対象にした調査「子どものくらしとお金に関する調査」(2015年12月から2016年3月にかけて、小中高生に対して学校を通して調査票による無記名自記式の記述方式で行われたもので、有効回答数は小学生1万6329件、中学生1万3131件、高校生2万0689件。地域分散もなされており、地域による偏りは無い)の調査公開結果をもとに、中高生の携帯電話の利用の中身を確認していく。

まずは小中高校生の携帯電話の所有状況。回答時に無回答だったものは除いて再計算をしている。

↑ 従来型携帯やスマートフォンを自分専用で持っているか(2015年、複数回答、無回答除いて再計算)
↑ 従来型携帯やスマートフォンを自分専用で持っているか(2015年、複数回答、無回答除いて再計算)

小学生では従来型携帯電話の所有率が高い。これは防犯用として保護者が持たせているケースが多いのがその理由。実際、インターネットを使える端末としての所有率は低い。それでもなお、小学校低学年で1割、高学年では1/4近くがスマートフォンを持っている。

中学生になると従来型携帯は2割にまで減り、スマートフォンは5割に達する。そして高校生では従来型携帯は1割程度、スマートフォンは94.7%と、20人に19人までの高率となる。クラスでスマートフォンを持っていないのは1人か2人程度との計算。

それでは従来型携帯電話やスマートフォンを、どのような時に利用しているだろうか。これは見方を変えると、携帯電話で何をしている、何を目的に所有しているかを意味する。今件項目は小学生では設問自身が無かったため、中高生のみでの精査となる。

↑ 従来型携帯やスマートフォンをどのような時に利用しているか(2015年、利用者限定、複数回答、無回答除いて再計算)
↑ 従来型携帯やスマートフォンをどのような時に利用しているか(2015年、利用者限定、複数回答、無回答除いて再計算)

中学生の最多利用は「電話をかける(通話)」で93.6%、そこから少々下がって「写真撮影」が86.6%。デジカメ的な使い方以外に、気軽なメモとしての利用スタイルが一般化しているのだろう。そして「メールする」「時計・アラーム機能の利用」が続き、「友達との情報交換(LINEなど)」が入る。ワンセグを用いた「テレビ閲覧」は18.2%、おサイフケータイ機能による「財布」は2.5%でしかない。

高校生になると上位陣のラインアップは変わらないものの、順位は大きく変動する。トップは「友達との情報交換(LINEなど)」で94.1%。次いで「写真撮影」「電話をかける」が続く。スマートフォンも携帯電話には違いないのだが、通話による電話よりもLINEなどを使った情報交換の方が利用性向が高いのは、ある意味現在の携帯電話(特にスマートフォン)の実情を表す動きではある。

また50%以上の回答率を示す上位陣では、そのほとんどが中学生よりも高い値を示しており、高校生が中学生以上に携帯電話…多分にスマートフォン…を使いこなしている実情がつかみ取れる。ただし「メールする」は減少しており、LINEやソーシャルメディアなどで連絡が取れることから、電子メールの必要性が減退していることがうかがえる。

今件を携帯電話利用者限定ではなく、各学年全体比を算出したのが次のグラフ。たとえば「友達との情報交換」で高校生は91.2%とあるので、全高校生のうち91.2%はスマートフォンなどを用いてLINEなどを使って情報交換をしていることになる。

↑ 従来型携帯やスマートフォンをどのような時に利用しているか(2015年、各学校種類全体比、複数回答、無回答除いて再計算)
↑ 従来型携帯やスマートフォンをどのような時に利用しているか(2015年、各学校種類全体比、複数回答、無回答除いて再計算)

中高生の実情を知る上ではこちらの方が分かりやすいかもしれない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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