40代で大きなスマホシフト…モバイル端末の利用状況
40代まではスマートフォンが主流
日本でもようやく携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォンの双方)はスマートフォンへの世代交代が進み、今はその過渡期にある。現状のモバイル端末の利用実情をタブレット型端末と共に、総務省の調査「平成27年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2015年11月14日から11月20日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリングによって抽出し、訪問留置調査方式により実施。13歳から69歳の1500サンプルが対象。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日)の結果をもとに確認していく。
次に示すグラフは世代別の従来型携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末の利用率。所有率ではないので、所有権を有する必要は無い(10代では特に利用していても自分の所有物で無い可能性がある)。
例えば20代でスマートフォンと従来型携帯の回答値の合計が100%を超えていることから、双方端末を同時に利用している人が少なからずいることが分かる。利用スタイルとして使い分けているか、あるいは単に移行の過程にあるかは人それぞれだが、双方項目の世代別の回答率を見るに、従来型からスマートフォンへの移行が若年層から少しずつ起きていることが分かる。
全体ではスマートフォンと従来型の差異は30%ポイントほどの差が出ているが、10代から40代まではそれをはるかに超える差でスマートフォンの方が上。また30代から40代ではまだ4人に1人が従来型携帯電話を所有しているが、20代では1割強にまで落ちている。
スマートフォンの利用率は20代がピークで、以下歳を経るに連れて漸減。従来型は逆に10代が下限で、それ以降は年と共に上昇していく。40代までがスマートフォンの方が上の世代で、50代でほぼ横ばい、60代になると従来型の方がはるかに上となる。
他方タブレット型端末だが、30代がピークの4割近くを示しているが、携帯電話ほど年齢階層別の差異が出ていない。これは個人所有の事例がさほどなく、世帯別での所有機として家族皆で使う事例が多々あり、世代別の利用率の差が出にくいことが要因と考えられる。
前年からの変化は
スマートフォンの急速な浸透ぶり、タブレット型端末の確実な普及の進展は他の調査でも多数の事例で確認できるが、今調査でもそれを裏付ける結果が出ている。次に示すグラフは、今件調査の前年版、つまり2014年の状況の結果を確認し、今回の2015年分と比較して1年間でどこまで変わったかを算出したもの。例えば全体のスマートフォンの値はプラス6.4%とあるので、全体においては前年から6.4%(ポイント)スマートフォンの利用率が上昇したことになる。
20代以外で従来型携帯電話の利用率が大きく後退し、その分スマートフォンの利用率が上昇している。上記でも触れた通り、個人利用において両立するケースが考えにくい従来型からスマートフォンへのシフトが、確実に起きていることが分かる。シフト度合いは若年層より中堅層の方が大きく見えるが、これは最初のグラフからも分かる通り、すでに若年層ではスマートフォンの普及が多分に進んでいるため。今年は特に40代において大きな変化が起きており、スマートフォンが11.6%ポイントも増加し、従来型携帯電話が13.8%ポイントも減少している。この動きは同年齢階層における他のさまざまな動向、例えばインターネット利用の行為者率の変化などにも影響を及ぼしている。
またタブレット型端末は全年齢階層で上昇。しかも世代別の傾向が特に見受けられない。20代から30代はともかくとして、50代・60代でも大きな伸び、それこそスマートフォン以上の増加を示しているのは注目に値する。
従来型携帯電話よりもスマートフォンの利用率が高い若年層と、まだ従来型が圧倒的なシニア層といった携帯電話の利用状況。家庭共用スタイルが多く世代格差があまり出ないタブレット型端末。若年層ではすでに飽和状態に近づき、中堅層にシフトしつつある、スマートフォン化の波。携帯電話関連、モバイル系の他調査でかいま見られた動向が、ずばりそのまま明確化した形で現れる結果が出ている。
昨今のモバイル端末の利用状況の実情が確認できるのと共に、そして近い未来の姿も容易に想像できよう。
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