変動激しい携帯電話の4年間にわたる利用率の変化を確認する
この数年間に携帯電話は従来型からスマートフォンへの大きなシフトが生じ、周辺業界も大規模な変化が生じている。その利用率の実情を総務省が2016年8月末に発表した「平成27年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2015年11月14日から11月20日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリングによって抽出し、訪問留置調査方式により実施。13歳から69歳の1500サンプルが対象。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日)などの調査結果をもとに確認していく。
次以降に示すのは主要なモバイル端末である従来型携帯電話、スマートフォン、そしてその両機種の動向と密接な関係があるタブレット型端末における利用率に関して、「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」においてさかのぼれる過去のデータとなる2012年分以降、都合4年分の推移を記したもの。
まずは従来型携帯電話。いわゆるガラケー、フィーチャーフォン。なお調査票には「携帯電話(スマートフォンを除く。 PHSを含む)」とあり、厳密にはPHSも含まれる。また、スマートフォンやタブレット型端末とは別個選択肢で質問されており、複数回答形式であることから、複数種類の端末利用者の場合は、それぞれに対して「利用している」と回答するため、全項目を合わせると100%を超える属性は当然存在する。
2012年の時点では約7割の利用率を示した従来型だが、その翌年には51.0%に急落。それ以降も漸次利用率は減少しつつある。男性よりは女性の方が、高齢層よりは若年層の方が下げ幅が大きい。また、学生・生徒や10代から30代では2012年から2013年にかけて著しい減退(前年比でほぼ半減)が生じており、従来型からスマートフォンへのシフトが(両用からスマホのみの利用へのスタイルシフトも合わせ)一気に生じたことがうかがえる。
他方50代から60代、特に60代の利用率減退は緩やかで、直近の2015年でも過半数は従来型携帯電話持ち。ゆっくりだが確実に従来型離れが進んでいると見るべきか、なかなか移行が進まないと見るべきか。解釈は難しい。
続いてスマートフォン。
2012年の時点では32.0%でしかなかった利用率も、直近の2015年では68.7%と7割に迫る勢い。男女の差はほとんど無く、年齢階層別では20代はもともと高く、2012年の時点ですでに7割近くを計上している。また10代から50代に至るまで、2012年から2013年に渡り大きな利用率の上昇が生じており、上記の従来型携帯電話の減退と合わせ、この1年間で大移動が生じたことが分かる。
興味深いのは学生・生徒における上昇率の変化。10代や20代では2012年から2013年にかけて大きな上昇が見られたが、学生・生徒では2013年から2014年において24.6%ポイントもの上昇が確認できる。同時期において爆発的な普及を示したコミュニケーション系アプリLINEが、この伸びの一翼を担ったものと推定できる。
今回精査した両種端末に関する値は、現時点では4年分しか公開値が蓄積されていない。この4年間は該当端末の周辺環境が大きな変化を見せたため、非常に有意義なデータを取得できた次第ではあるが、同時に、4年分ではやや動向を推し量るのには不足している感もある。
来年以降も継続して調査が成され、各端末の値が取得されることを願いたいものだ。
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