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少子高齢社会にも関わらず民主主義の活性化を行わない状況が「シルバーデモクラシー」である

原田謙介政治の若者離れを打破する活動を10年以上

「シルバーデモクラシー」の新たな定義

大阪都構想の是非を問う住民投票の結果に関して「シルバーデモクラシー」という面で色々な議論が昨日一昨日と起こってた。

その議論の中で、2つのシルバーデモクラシーの定義がなされていた。

1つは「シニア世代の意見が若者世代に勝つ状況」

もう1つは「シニア世代と若者世代の人口比が大きく違う状況」

自分はさらなる別の定義をしてみる。

それは少子高齢社会にも関わらず民主主義の活性化を行わない状況というものです。これを「シルバーデモクラシー」の定義とする。

少子高齢社会へと変わっているにも関わらず民主主義の仕組みをアップデートしていない状況に問題がある。実は少子高齢社会における民主主義とどう向き合うかに関しては日本だけの問題ではない。昨年参加した、EU評議会(EU council)主催のWorld Forum for democracyにおいてもこの問題は盛んに議論をされていた。

人口が増えていく前提、あるいは将来を担い支えていく若者の数が多い前提で作られている仕組み。言い方を変えれば、税金を払っているあるいは今後払う層よりも、これまで払ってきて今後は税金を使う側である層の割合が少ない状況。これらの仕組み・状況が前提となり民主主義が作られてきた。

それがいまや逆。少子高齢社会において、高齢者の数がどんどん増え、若者層がどんどん減っている。この想定されていない社会状況において民主主義をどうすればよいのか。民主主義を活性化するためにどうすればよいのか。そのことを真剣に考え、具体的なアクションを起こさない状況がだめなのだ。

少子高齢社会において若者を政治に巻き込むためのアクションを起こさないことが「シルバーデモクラシー」ということができる。

大きく2つの仕組みにおいて問題点がある。

仕組みの問題点(1):若者が触れにくい政治環境の現状のまま

現在の若者の生活スタイルにおいて、政治との接点が少ない状況のこと。

例えば、あまり政治教育がなされていない。属しているコミュニティ内で政治(家)と接することがない等、

仕組みの問題点(2):若者が意見を出しにくいと感じる政治システムの状況

政治の議論の場に若者の意見が乗らない状況。若者の意見が通ることではない。

例えば、「どうせ若者の意見は通らない」と感じる。若者が立候補しにくい。など

若者が投票に行かないという当たり前をどう打破していくのか。

若者が高齢者に比べて投票に行かない、政治への関心が少ないのは、当たり前。収入を年金に頼っていたりして政治と生活の関わりが密接であったり、社会や人生での色々な経験があり政治の重要性を感じたすることによって投票に行く。

加えて今の日本社会では「どうせ若者の意見通らないだろう」と若者自身の諦めも投票に行かない要素となる。

その当たり前を前提に、どう若者を投票に行かせ、政治に関心を持たせるかを考えなければいけない。どう仕組みを作るのか? どう教育するのか? どう若者の声を吸い上げるのか?

難題だけど考えなければいけない。これからの社会を作り担う若者が、社会の中心を担う政治を見捨てる状況を変えなければいけない。

もちろん、打破をするための取り組みは色々と進んでいる。

インターネット選挙運動解禁や大学内への期日前投票所設置等がわかりやすい事例だ。

若者の投票率は上げられる!松山市選挙管理委員会の取り組み(大学への期日前投票所設置など)

少子高齢社会においてであっても、若者を政治のほうに振り向かせ、主体的にアクションをとるためには何ができるのか。ひきつづき考えたい。

「シルバーデモクラシー」だよね、で諦めるのは早すぎる。まだまだやれることはある。

政治の若者離れを打破する活動を10年以上

1986年生まれ。岡山在住。愛媛県愛光高校、東京大学法学部卒。「学生団体ivote」創設。インターネット選挙運動解禁「OneVoiceCampaign」。NPO法人YouthCreate創設。「若者と政治をつなぐ」をコンセプトに活動。大学非常勤講師や各省有識者会議委員などとして活動を広げていく。18歳選挙権を実現し、1万人以上の中高生に主権者教育授業を行う。文科省・総務省作成「政治や選挙等に関する高校生向け副教材」の執筆者でもある。2019年参議院選挙・2021年衆議院選挙に立候補し敗れる。元岡山大学非常勤講師。元グローバルシェイパー東京代表。元中野区社会福祉評議会評議員

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