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米国スタートアップの黒船来襲。守るか、打って出るか、それが問題だ。

小川浩株式会社リボルバーCEO兼ファウンダー。
高級車の配車アプリのUBERも日本上陸

2013年は、多くの米国スタートアップが日本上陸を果たして話題になっている。

ちょっと列挙してみよう。

Square

言わずと知れた、米国でもっとも注目されている起業家のひとりであり、Twitterの共同創業者でもあるジャック・ドーシー率いる、オンラインによる簡易決済サービスの提供ベンチャーだ。彼らはまだ日本法人を正式には置いていない。シンガポールにアジア拠点(Squareup Pte. Ltd.)を置き、そこからアジア・パシフィックへの伸張を狙っている。

日本では三井住友カードと提携し、日本国内での普及を進めている。スマートフォンのイヤホンジャックに挿してカード決済を行なうデバイスは、コンビニで広く売られはじめており、個人商店や飲食店などでSquareが利用されることも多く見られるだろう。

日本ではSquareクローンとしてコイニーがクレディセゾンらと提携したり、大型増資を成功させることでSquareに対抗しようとしているが、はたしてどうなるか?

Uber

突然、という表現がしっくりくるだろう。スマートフォン経由で短距離でも利用できて、比較的低価格なハイヤー・サービス――それがUberだが、2013年11月14日から六本木・麻布エリアで数台の稼動という限定的なサービスを開始することで、日本上陸を果たした。すでに日本法人も登記済みだという。

法規制の多い日本国内でどこまで浸透するかはわからないが、法の間隙を縫って思い切って参入するのがスタートアップの真骨頂だ。

AirBnB

余っている不動産、もしくは部屋を貸したい人と借りたい旅行者を結びつけるマッチングサービス、AirBnBは、東京限定ながらすでにサービスを開始している。

BnBとはベッド&ブレックファスト。つまり基本的には一泊朝食付きのサービスのことだ。ちなみに、彼らのWebサイトでは東京を「誰もがスーツを着て一生懸命働き、礼儀正しい国」と表現している。そうでもないぜ、と僕らは笑いたいところだ。

Fancy

伊勢丹と組む、というコンサバティブな戦略をみせたFancyは、Fab.comにも似たソーシャルコマースであり、写真を中心としたUIが特徴のサービスだ。

日本法人はまだ正式には動いていないようだが、代表者としてハーバード大卒で元プロバスケットボール選手という異色の経歴をもつ矢田公作氏が任命されている。

Pinterest

最後に紹介するのがPinterestだ。本コラムでもたびたび紹介しているが、好きな写真をアップしたり、他人がアップした写真を気に入ればピンボードに貼るようにして記録していける、写真共有型のSNSだ。

彼らはついに日本法人を立ち上げ定国直樹氏が代表に就任している。

何度も繰り返しているように、Pinterestは売上がほぼない。にもかかわらず数十億ドルという評価価値を生んでいるモンスタースタートアップだ。彼らが日本でうまくいくには、女子高生を中心とした、プリクラ世代にどう活用してもらうかにかかっている気がする。

以上のように、IT系ネットニュースメディアの読者にはなじみ深いが、一般的にはまだまだまったく知られていない新興企業群が、急に日本上陸を本格化しはじめた。というより、もっとも人口が多く、市場としてこれからの成長が見込まれるアジア全体に対して、米国ベンチャーたちが巨額の資金にモノを言わせて一気に攻め込んできたということだと思う。

日本のスタートアップとしては、一刻も早くアジア最適化を考慮し、国内で彼らメガスタートアップを迎え撃つというよりも、アジア市場に先に陣地取りを考えるべきだろうと思う。

via Mdn Interactive

株式会社リボルバーCEO兼ファウンダー。

複数のスタートアップを手がけてきた生粋のシリアルアントレプレナーが、徒然なるままに最新のテクノロジーやカッティングエッジなサービスなどについて語ります。

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