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センター試験のデータの裏を読む

石渡嶺司大学ジャーナリスト

今回はセンター試験のデータの裏側を解説します。

大学の数より多い参加校数

今年(平成26年度)の参加校数は843校。

ところが、大学数は782校。

ん?

参加校数が大学数より多いってどういうことでしょう?

843校中、大学は685校です。

では、残りは?

実は残り158校は短大なんです。

短大は平成16年度からセンター試験に参加できるようになりました。初参加の短大は97校。

それがさらに増加して158校して、大学数を上回った次第。

志願者数56万672人のうち浪人生11万人の意味

高校卒業者は約110万人。うち大学進学者は約57万人。

もちろん、センター試験には浪人生も参加します。

大学入試センターのデータによると、現役(高卒見込み)が44万3318人。浪人生が11万1914人。

文部科学省の学校基本調査によると、平成25年度の大学進学者(過年度含む)は67万8836人。

うち大学のみだと61万4183人、短大は6万4653人。

現役のみの大学・短大進学者は56万3450人。

浪人して短大に進学する人は少ないでしょうから現役のみの大学進学者はざっと50万人。

つまり浪人しての大学進学者はざっと11万人。

先ほどの大学入試センターの浪人生データとほぼ同じです。

つまり、浪人生はほぼ全員がセンター試験を受けるということですね。

浪人生、11万人かあ。

1993年に高校を卒業、2年も浪人をした身(正確には1浪のときはろくに勉強していなかった)としてはちょっと感慨深いです。

センター試験開始当初は30万人近くいると言われていました。

当時は

現役偶然、一浪当然、二浪平然、

なんて言われていたものです。

ちなみに、三浪以降は

三浪憮然、四浪唖然、五浪愕然、六浪慄然、七浪呆然、八浪超然、九浪天然、十浪無為自然

というオチ。

そういえば、つい最近、コンビニで原秀則の名作『冬物語』の復刻版を見かけました。

オチをバラすと、私大文系クラスの浪人生が東大志望女子の浪人生に一目ぼれして東大クラスに変更するも全く勉強がついていけず。

すったもんだの末に一浪で某私大に合格。

しかし、物足りずに再度浪人して、結果として専修大に補欠合格して、恋人ができてああよかったね、と。

これ、連載していた1987~1990年当時、日東駒専クラスが地方国立大並みに難しい、という時代背景があったから成立する漫画であって、今の高校生・大学生にこの話をしても

なんで二浪してまで専修なんですか?

で終わるような…。

『冬物語』自体は名作なので、漫画が好きな方はぜひご一読を。

現役志願者44万人のうち本気の受験者は?

文部科学省データによると、推薦入試入学者は20万人、AO入試入学者は5万人で推移しています。

AO・推薦入試入学者は大体が現役生。

ま、国公立大はAO・推薦入試と言えどもセンター試験を課す方式もあります。

大雑把に国公立大のAO・推薦入試の半数がセンター試験を課す方式として、残り半分と私大のAO・推薦入試での入学者数合計が約25万人。

これ、全部現役合格としたらこの25万人はセンター試験受けなくていいはずなんです。

先ほどのデータに戻ると

高校卒業者の大学等進学者が57万人、短大進学者が約6万人。

で、センター試験の現役志願者が44万人なので、AO・推薦入試入学者25万人のうち、18万人はAO・推薦入試入学が決まっているにも関わらず、センター試験を受験している、という計算になります。

これ、どういうことかと言えば、地方の公立高校を中心にAO・推薦入試での入学が決まっていても、センター試験受験を必須扱いにする高校が多いからです。

理由は、一般入試志望者への悪影響防止(AO・推薦入試合格者はセンター試験受験を必須にしないと勉強しなくなるため)が理由です。

大学合格が決まっている高校生やその親からすればセンター試験を受けなければならないなんて、と恨み骨髄のことでしょう。

が、実はセンター試験を受験していればそれだけで得する職業というものがあります。

と期待を持たせたところで次回に続く。

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計31冊・65万部。 2023年1月に『ゼロから始める 就活まるごとガイド2025年版』(講談社)を刊行予定。

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