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Z会のインターンシップは赤字添削で泣ける?

石渡嶺司大学ジャーナリスト
2013年インターンシップの模様

とりあえず2016年卒採用について簡単に

2016年卒採用に向けて、インターンシップが盛んになっています。

例年だとインターンシップの実施時期は3年生夏休みが中心でした。

つまり、募集は6月かせいぜい7月ごろあたりまで。

しかし、2016年卒採用は就活後ろ倒しに伴う混乱が予想されます。

後ろ倒しの話はほかでも書いているので、えいやと飛ばします。

とりあえず、ここでは、

●広報解禁(会社説明会の実施、就活ナビの運営開始など)が3年生12月から3年生3月になった

●選考が4年生4月から4年生8月になった

●日本経団連が主導

●法律で決められているわけでなく、罰則もないので外資系・ベンチャー・中小企業だけでなく、経団連加盟の企業でもやろうと思えばいくらでも

この4点を抑えていただければ十分。就活後ろ倒しと就活協定をめぐって80年以上、迷走した話は拙著『就活のコノヤロー』をどうぞ。

激増中のインターンシップ

それで、この就活後ろ倒しの影響で、インターンシップが注目されています。

ここもざっくり行くと、

●インターンシップは本来は就業体験できて期間も1か月単位で長い

●日本では1日しかない会社説明会・業界セミナーなどもインターンシップに含まれる

●企業からすれば、3月の広報解禁前に広報できるので便利

●某就職情報会社が「今年は秋冬インターンをやらないと」と煽りまくっていることもあって、9月以降実施の企業が急増中

●もともと9月前後に実施していた企業からすれば、競合相手が増えて学生の応募が減って大迷惑

とまあ、こんなところ。

あ、インターンシップの歴史はHRmicsで連載している「就活温故知新」の最新号に書いているのでそちらをどうぞ。

インターンシップは急増した結果、企業からすれば競合相手が増えて学生が集まりにくい状況になっています。

余談ですが、今月28日に神戸で実施される就活イベントに私も顔を出すのですが、こちらも集客は苦戦中とのことでした。

まあ、学生からすれば、インターンシップの数が多すぎてどの企業のものに参加すればいいか、わからない、という話もよく聞きます。

そこで、私が取材して回っている企業のうち、ユニークなインターンシップをいくつかご紹介していきます。

まずは通信添削大手のZ会。

CMに新海誠を起用した「クロスロード」がかなり泣けるのですが、インターンシップはどうでしょうか。

マーケティングの基礎が学べる

Z会のインターンシップは、マーケティング・広告の基礎を学ぶことが中心になっています。

リーマンショック以前はやたらと外資系に行ってコンサルタントをやりたい、という学生が多数いました。

今も、難関大を中心にそこそこいますし、外資系コンサルタントを目指さなくても、

「営業は嫌だけど、マーケティングや企画はやりたい」

という話はよく聞きます。

※ここで世の営業職と営業職を知っている社会人は「営業が嫌、だとぉ?」と一斉にツッコむところですが、あえてスルーします

ところが、マーケティングを学ぼうとしても書籍では限界があります。

社会人向けセミナーもよくありますが、1日でも1万円くらいは簡単に請求されてしまいます。

その点、このZ会のインターンシップだと、参加は無料。

では、1日のプログラムはどのようになっているのでしょうか。

売れる書籍を考える

内容は第一部がマーケティング基礎講義。教育業界やZ会の現状についての講義と、Z会の書籍を例にしたマーケティングの基礎講義があります。

これが終わると、昼食となります。昼食時間は休憩と先輩社員への質問会を兼ねて85分とたっぷりあり、昼食を食べながら、リラックスした雰囲気の中で質問ができます。

続いて、第二部は新刊企画会議。

参加学生は事前に「売れる書籍」という企画書を作成します。この企画書を元にグループに分かれ、各グループでさらに売れる書籍について考えます。

その後、各グループが発表。質疑応答があって全体での講評があっておしまいです。

企画書添削はやっぱり赤字

インターンシップの実施は今年で4年目。

「今までの経験を踏まえ、今年から大きく変えたところがあるんです」

とインターンシップを担当するZ会総務部人材開発課の桑原一朗さんは話します。

「今までと違って大きく変えたのはまず先輩社員とのランチミーティング・質問会です。

ご飯を食べながら自由に話してもらおうと企画しました。

昼食のご用意はないのですが(各自で準備)、学生10人くらいのグループに営業や編集など各部署の先輩社員が1人付き、自由に質問できるようになっています」

なるほど。まあ、食べながらだと結構いろいろ話せますしね。

「それともう一つは事前課題として提出してもらった企画書の添削です。

さすがにプログラムが終了した当日に返却、というのは無理ですが

1か月後程度をめどに現役社員が添削して返却します」

この添削は大きいですね。

自分の書いた企画書が現役社員、つまりマーケティングのプロによって、フィードバックが受けられるわけですから。

添削はやはり赤字なんでしょうか、と聞くと、

「はい、赤字で添削します!そこだけは譲れませんし」

とのこと。

赤字添削、参加学生は嬉しいかもしれませんが、添削をする側は大変そうです。

それこそ、赤字とならないことを祈ります。

例年だと、出版業界志望、教育業界志望の方が中心ですが、その中でもやはり教育業界志望者が目立つそう。

ただ、

「マーケティングや企画の立て方に興味がある方であれば、志望業界や在籍学部関係なく大歓迎です」(桑原さん)

だそうです。

売れる書籍がテーマなので、ライターとして身の振り方を考えたい私こそ受けたいものです。

実施は、

東京会場が9月3日、5日、14日(いずれか1日)、

大阪会場が9月9日、10日(いずれか1日)。

各日程とも朝10時から17時まで。

応募締め切りは8月25日なので、当記事の公開から1週間程度しかありませんが、マーケティングや企画の立て方を学べるいい機会です。ご興味ある方はZ会の採用サイトまでどうぞ。

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計33冊・66万部。 2024年7月に『夢も金もない高校生が知ると得する進路ガイド』を刊行予定。

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