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アップル、英BBCから看板ラジオDJ、Zane Loweのヘッドハントに成功

ジェイ・コウガミデジタル音楽ジャーナリスト
Zane Lowe live

かなり衝撃。

イギリスのラジオ局「BBC Radio 1」で10年以上に渡って英国人アーティストや新人アーティストを取り上げ、シーンの成長に大きく貢献してきた、人気DJのゼイン・ロウ(Zane Lowe)がBBCを去ることが発表されました。

新しい職場はなんとアップル! 3月5日に最終回をオンエア、その後はカリフォルニアに移住して、アップルの「iTunes Radio」サーヴィスに関わります。

ゼイン・ロウとはどんなDJ

2004年に伝説的なラジオDJ、ジョン・ピール(John Peel)が亡くなってから、ロウはDJおよび番組プロデューサーとして、毎週4日自分の2時間番組で、ロックからポップ、ヒップホップ、エレクトロニックの大物から新人まで幅広いジャンルのアーティストやレーベルを取り上げて、シーンの活性化に大きく貢献してきました。アデル(Adele)やエド・シーラン(Ed Sheeran)といった英国人アーティストは、ゼイン・ロウが番組で積極的に取り上げた結果、人気に火がついたアーティスト達です。

またこれまでに数多くの大物アーティストとのエクスクルーシブなインタビューを実現させています。ジェイ・Z、カニエ・ウェスト、エミネム、フー・ファイターズ、コールドプレイなど、世界的なアーティストやプロデューサーとつながり、ラジオにも関わらず他では作れないコンテンツを制作してきたことで知られています。

去年夏のリック・ルービンのインタビュー。この頃には接触が合ったんでしょうね…。

BBC Radio 1の番組では、これまでNMEアワードを4回、Radio Academy Awardを3回受賞するなど、業界からの信頼も獲得しBBCの英国音楽シーンにおける地位を向上させてきました。

アップルが2013年に始めた無料のネットラジオサーヴィス「iTunes Radio」は、SpotifyやPandoraなど音楽ストリーミングと競走できるほど成功していません。2014年にヘッドフォンビジネスと一緒に定額制音楽ストリーミング「Beats Music」を買収し、共同創業者で音楽業界に多大な影響力を持つプロデューサーの2人、ジミー・アイオヴィン(Jimmy Iovine)とドクター・ドレ―(Dr. Dre)を招き入れて、音楽ビジネスの強化を図っています。

ラジオDJでもアップルに就職できる時代になるなんて、今まででは考えられませんでしたが、今ではそれが実現してしまったことは、世界のラジオDJ達や番組プロデューサーらの所謂「テイストメーカー」達にとって刺激になることは間違いありません。

ロウの役職やアップルでの仕事に関してはアップルからの発表はありませんが、彼独自のナレッジを活かした独自コンテンツに乗り出すのか、音楽キュレーションを強化するのか、アップルの音楽ビジネスの今後にますます注目です。

ソース

Zane Lowe to leave BBC Radio 1 for Apple(2/15 The Guardian)

image byFlickr Chris Thompson

この記事はデジタル音楽ブログ「All Digital Music」 2015年2月15日の記事の転載です。

デジタル音楽ジャーナリスト

専門は「世界の音楽ビジネス、音楽業界xテクノロジー」の執筆・取材・リサーチ。音楽ビジネスメディア「All Digital Music」、音楽業界専門のマーケティング支援会社「Music Ally Japan」や、音楽ストリーミング・データ分析プラットフォーム「Chartmetric」日本事業展開も担当。グローバル音楽業界、レコード会社、ストリーミングサービスのビジネスモデル、トレンド分析、企業分析に関する記事執筆多数。

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