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Amazonが「定額制音楽配信」に今夏参入か?

ジェイ・コウガミデジタル音楽ジャーナリスト
Amazonが定額制音楽配信を開始か(写真:ロイター/アフロ)

いつかは来るかと思っていましたが、このタイミングで来ましたね。

Amazonは、アップルやSpotifyに対抗するべく、Prime会員限定サービスとは別にスタンドアローン版の定額制音楽ストリーミングサービスを準備していると、関係者からの情報をロイターがレポートしています。

Amazonが計画する定額制音楽ストリーミングサービスは月額9.99ドルとApple MusicやSpotifyの有料プランと同じ価格になる模様。

現在Amazonはサービス開始に向けてレコード会社との交渉をまとめている段階で、新サービスは今夏または今秋にローンチする予定と関係者は語っています。

AmazonはPrime会員向けに無料の音楽ストリーミングサービス「Prime Music」と、所有する音源やダウンロード購入した音源をクラウドに保存できるデジタルロッカーサービスを日本をはじめ世界で提供しています。

ロイターによれば、Amazonが定額制音楽ストリーミングに参入する理由には、Amazonが独自開発するスマートスピーカー「Amazon Echo」(現在、日本では購入不可)の利用を強化する狙いがあるようです。

サービス開始から8年目のSpotifyと、昨年から始まったApple Music、さらにグーグルが提供するGoogle Play MusicとYouTubeの定額制YouTube Redが単独のサービスであることに対して、AmazonだけがPrimeユーザーをターゲットにした総合的なデジタルサービスを提供する異なるアプローチを仕掛けてきました。

またAmazonは前述のAmazon EchoスマートスピーカーやFire TVに導入される音声コマンドシステム「Alexa」を開発しています。AlexaはAppleの「Siri」やグーグルの「Google Now」と並び、今後のデバイス利用における重要な役割を担う新しいインターフェースと見られています。すでにAmazon EchoというオーディオシステムでAlexaを導入済みの実績があるAmazonは、音声認識付きスマートスピーカーの領域で他社をリードしている存在で、Amazon Echoに対抗するためにAppleとグーグルはそれぞれSiriとGoogle Homeをベースにしたスピーカーシステムやサードパーティとの連携を強化していくと噂されています。

AmazonはPrime Musicとは別にAmazonで特定のCDやアナログレコードなどフィジカルの音楽を購入した際に、無料でMP3データをクラウドに保存してくれる「AuroRip」という便利なサービスも提供してくれています。こちらはPrime会員でなくても対象となります。

ソース

Exclusive: Amazon is preparing to launch streaming music service - sources(Reuters)

この記事はデジタル音楽ブログ「All Digital Music」で2016年6月11日に掲載された記事の転載です。

デジタル音楽ジャーナリスト

専門は「世界の音楽ビジネス、音楽業界xテクノロジー」の執筆・取材・リサーチ。音楽ビジネスメディア「All Digital Music」、音楽業界専門のマーケティング支援会社「Music Ally Japan」や、音楽ストリーミング・データ分析プラットフォーム「Chartmetric」日本事業展開も担当。グローバル音楽業界、レコード会社、ストリーミングサービスのビジネスモデル、トレンド分析、企業分析に関する記事執筆多数。

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