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【女子アイスホッケー】世界ランキング1位のアメリカが報奨金未払いで世界選手権出場をボイコット!?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
世界選手権で現在3連覇中! 世界ランキング1位のアメリカ女子アイスホッケー代表(写真:ロイター/アフロ)

オリンピックイヤーを除いて、毎年春に開催されている「アイスホッケー女子世界選手権」の開幕が迫ってきました。

先月に苫小牧市で行われた「オリンピック最終予選」で、ピョンチャン行きの切符を勝ち取ったスマイルジャパン(女子日本代表)が出場する「ディビジョン1・グループA(旧Bプール=上から二つ目のグループ)」に先駆け、上位8か国が集う世界選手権(トップディビジョン)が、今月31日(現地時間)からUSAホッケーアリーナ(ミシガン州)」で行われます。

▼注目は3連覇中の地元アメリカ!

注目されるのは、何と言ってもアメリカ代表です。

世界選手権では、“永遠のライバル” であるカナダを下して、現在3連覇中!

その上、今大会は地元開催とあって、例年にも増してメディアからの注目度が高まっていましたが、ここへ来て、別の出来事によって注目が集まってしまいました。

どのような出来事かと言うと、アメリカ代表選手たちが、

「世界選手権出場をボイコットする」

ことを表明したのです!

▼アメリカホッケー協会からの提示

現地メディアの報道によると、来年の「ピョンチャン オリンピック」での金メダル獲得へ向け、アメリカホッケー協会は、代表チームでの活躍が期待される選手たちに対して、

「6か月間にわたる強化期間を設ける」

「その間の住居、食事、遠征費、負傷時の治療費、保険代を負担する」

「報奨金として85000ドル(およそ960万円)を与える」

ことを提示したそうです。

▼2大会連続MVPが宣言

しかしながら、一昨年、昨年と、二大会続けて世界選手権のMVPに輝いてるヒラリー・ナイト(FW・27歳)によると、アメリカホッケー協会は契約を履行せず、現状の説明や再交渉なども進んでいないことから、「アメリカ女子代表のメンバーは世界選手権に出場しない」と宣言!

▼世界一決定戦のステージに立てない・・・

対してアメリカホッケー協会は、説明と話し合いを続けていくとコメント。

しかし、選手たちの納得は得られていないようです。

バンクーバーとソチのオリンピックに出場したジョセリン・ラムー・デイビッドソン(FW・27歳)は、「もちろん私たちは(世界選手権で)プレーしたい。でも14か月もの間、何も進展が見られない」との胸の内を明かし、世界一決定戦のステージに立てない無念さを、にじませていました。

▼世界選手権は !? オリンピックは !?

このような状況に、アメリカホッケー協会は「替わりのメンバーで世界選手権に出場するつもりはない」との意向を発表。

振り返れば、2011年の東日本大震災の直後に行われた「女子世界選手権(ディビジョン1)」では、出場を辞退した日本に対し、国際アイスホッケー連盟は、天災による不測の事態を考慮して、「最下位チームの自動降格」とはせず、翌年も同じグループ(名称はディビジョン1-グループAに変更)で世界選手権に参加することができました。

しかし、今回のアメリカは、いわば “お家騒動” だけに、世界選手権をボイコットした場合に、

「次回(2019年)の世界選手権は、どのグループでの参加になるのか !?」

さらには、

「来年のピョンチャンオリンピック出場にも影響が及ぶのか !?」

日本のスポーツ界にとっても、今後の行方には注視が必要となりそうです。

★その後の展開を、筆者当サイトの16日付の記事で紹介しています。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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