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リオ五輪メンバー発表会見、手倉森誠監督のコメント全文

神谷正明ライター/編集者

U-23日本代表の手倉森誠監督は2日、リオデジャネイロ五輪に臨む登録メンバー18人を発表した。以下、記者会見での手倉森監督のコメント。

手倉森誠監督

みなさんの想いが熱いのか、スポットライトが熱いのか、僕の気持ちが熱いのか。いよいよメンバー、悩みに悩み抜いて、決定することができました。Uー23日本代表は今日から、サッカー日本オリンピックチームに変わるんだと。これまで僕とともに戦ってきてくれたUー23世代の選手たち、その役割もここで別れます。託す側と、託される側に。託す側に回った選手たちには、常々メッセージとして言っている、日本サッカーの発展に関わり続ける選手になれと。今日の発表をもって役割が託す側になっても、それを切らさずにやってほしい。もちろん外れた時には悔しさがあります。それを糧に、日本サッカーの発展のために、努力し続けることをメッセージとして伝えたい。託される側は喜んでいる場合じゃない。みんなの、仲間の、国民の思い、日本サッカーの将来の可能性をのばすための責任、覚悟を持ってオリンピックに臨んでほしい。こうして切符を取れて、オリンピックに出られて、メンバーを選考するにあたって、協力してくれたJクラブに感謝したい。いろんな人の支えで、今日こうして記者会見できることを感謝しています。

この18人、集中開催のリオの大会でUー23の世代の強みとして発揮されたまとまりを、この18人でうまく発揮できるだろうなという調和の取れたメンバーになったのかなと思います。オーバーエージ3人を加えたが、このチャンスをロシアにつなげられるメンバーということで期待しているし、戦術に関しても柔軟性、割り切りとなった時の、柔軟性で十二分に発揮できる構成だなと。プラス、世界の舞台で示さないといけないメリハリをうまくコントロールできるような構成にしたつもりであります。

この前の南アフリカとのゲーム、最初に辛抱させられてから、相手の強みをしっかりと受け止めたなかで、弱みを探りながら隙を突いていく、そしてゲームを読みながら、勝利もぎとるスタイルが私が今の日本代表のスタイルかなと思っています。ゲームコントロールしながら、読みながら、相手心理を汲みながら、小さな隙を大きな穴にしていく、そういったところを突けるような試合を本大会でしていきたい。

バックアッパーは4人とも快く、バックアップでもいきたい、チームにアクシデントの時は力になりたいと快諾してくれました。そこにまた、僕自身も勇気づけられたし、彼らのメンタリティーが18人をよりたくましくしてくれるだろうなと思っています。もちろん、バックアップに選ばれていないメンバー、残っていくメンバーも同じ思いだと思います。縁があれば、彼らもピッチに立つことがあるでしょうと昨日話しました。本来、国際大会、23人いれば間違いなくメンバーに入る選手たちだなと。でも今回は18人だと。そうなった時の役割を十二分に指摘してくれていると思っています。

トレーニングパートナー、Uー19から4人連れていきます。これはアジア最終予選を勝ち抜いた後、18人しか、オリンピックの準備期間を考えた時になくてはならないパートナー、田島会長からすかさず「若い選手を連れていったらどうだ」という提案があって、それに甘えさせてもらいました。リオ五輪の後、東京五輪ということを考えれば、ここでこのオリンピックチームに絡ませることは非常に重要なことだなと思っていますし、今アメリカでUー19は最終予選に向けて準備しているが、最終予選に向けて万全の体制につながればいいし、東京五輪につなげてもらいたい。杉本大地はバックアッパーでありながら、トレーニングから参加していきます。

Q メンバーが最終的に決まったのいつ? 最後まで悩んだ人選は? オーバーエージ選考は当初構想されていた状況とは違うと思うが、東京五輪への改善点、提言は?

メンバーを確実に決定したのは「よし寝るっ」て思ったときです(笑)。昨日の深夜、自分の中で決めて、寝ました。選ぶのが難しかったのは、南アフリカ戦でそれぞれのパフォーマンスを見せつけて時に「ここからしぼらないといけないのか」というような思いに駆られて、すべての選手に対して思い悩みました。そのなかでも、高いパフォーマンスを示した中谷、プラス岩波の回復状況というところで、こればかりは予測の計算しかないと。そこを決断するにあたって、自分としては慎重だったし、大きな決断だったと思います。

東京五輪のオーバーエージの提言といえば、今はリオのことしか考えていない、はい。すみません(笑)。

Q ポジション配分を見ると、ボランチ4枚、サイドハーフ3枚という構成だと思うが、ここは迷った? 最終予選から鈴木、オナイウがいなくなり、セットプレーの高さの強みが減少するが、その部分は?

アジア最終予選までね、おそらく今の質問、メンバー構成については、自分の軸みたいなところだったと思います。中央の枚数を増やして、両サイドの枚数減らした、高さも十分ではなさそうだと。それはみなさんもお分かりのとおりだと思います。

だけど、自分はオリンピックに挑む時のイメージで、高さだけに準備して、高さだけを用意することも少し是正しないといけないなと。日本の強みは何なのかと言えば、おそらく

速さだなと。そこを十分考慮してメンバー構成を作ってみようと。大会に挑むときに、果たして攻撃的にやれるのか。僕は必ず、押し込まれて守らなければいけない状況が続く大会になるだろうなと6割がた思っていて、そうなったときに、相手を打ち負かすための守備、サイドバック、センターバック、ボランチを厚くするために、ボランチを4枚にしました。ボランチのなかに遠藤航という後ろでどこでもやれる選手がいて、塩谷もサイドもできる。複数のポジションをこなせる選手たちを後ろに置いた時に、後ろを万全にしておきたかった。前の線選手たちは逆に言えば、少数精鋭かもしれない。だけどチャンスも少数かもしれない。そこを突けるような選手を揃えたつもり。その戦い方をイメージしたメンバー、ポジション構成を考えました。

Q 1月の最終予選はメンバーをターンオーバーして乗り切ったが、今回は?

全部が全部、変えられないですね。だけど、戦いながら全員で戦い抜く覚悟がないといけないときに、早川コンディショニングコーチと選手のコンディションを見極めて、しっかりと体力を分散しながらみんなで戦い抜きたい。間違いなく全員がピッチに立つ。それは今大会でも考えています。

Q 背番号は?

ちょっと背番号が話題になってましたからね、南アフリカ戦で。ここで背番号まで発表したら、次のネタがなくなるかなと、今日は伏せておきました(笑)。後日発表します。

Q 本大会、過密日程になるなかでオーバーエージが基本的に軸になって他の選手を使うのか? それとも固定せず競争させるのか?

コンディションを見極めないといけない。オーバーエージはもちろん、23歳以下もJリーグで試合を重ねた先にリオに乗り込む。その時のコンディションによります。もちろん、オーバーエージのルールを採用して、彼らにきてもらったので、彼らの軸という意識、責任感は十分に感じてもらわないといけない。ただ、コンディションありきだなと思います。そこをチームスタッフと話して、選手とコミュニケーションを取りながら。彼らが出続けるよりチームが勝つことが重要と、みんなで理解しあってやっていければ。

Q 今回メンバーに入らなかった選手は、リオを目指してサバイバルを戦った経験がどう生きる?

今まで、ただ呼んで、ただ評価して、選手を出し入れしたわけじゃない。手倉森ジャパン、ものすごくコミュニケーションを取ってきました。当初メンバーに絡まなかった選手たちが本大会を前にして試合に絡めるよになってきています。選ばれなかった選手たちに、すでに試合に出ている選手がいます。このチームが結成してから、この世代が日本サッカーの発展に関わらないといけないと意識してやってくれているからだと思っていますから。彼らはその思いを絶対に切らすことはない。

集まった時のまとまり、「あいつががんばっているから俺もやらないといけない」と、絶対にそう思う世代だと思っています。今回選ばれた選手たちは、将来に対してすべてではない。外れたなかにもその可能性がたくさんある。託す側になった人は間違いなく悔しさ糧にしないといけない。そうなってくれることを期待します。

Q 押し込まれる展開を想定して後ろの選手を集めたという話だが、それ以外に対戦相手の特徴を考えたメンバー構成になったのか? また主将は遠藤のまま?

もちろん、対戦国を見据えたし、、環境を見据えた選考にもなったし、ナイジェリアだからこのメンバー、コロンビアだから、スウェーデンだから、ということに対して、どこにも準備しうるメンバー構成じゃないかと自分のなかではあります。トータルで考えて決めました。これは事前に、マナウスに行ってこれたのが大きかったと思います。キャプテンは、遠藤のままでいきます。遠藤のままで、リオへ渡ります、はい(笑)。

Q 岩波の今の状態は?

毎週、協会スタッフが情報を取りながら、実際に足を運んで、彼のトレーニンをしっかり見て、僕も映像も常に見ていました。思った以上に回復が早く、来週に完全合流すると。ともすれば9日の試合に間に合うという状況まで来ているという情報をもらっています。

このチームに絡み続けてきた彼、間違いなくコンディションはそこに持ってこれるだろうなと俺のなかで確信しました。あと、南アフリカ戦で、サポーター席で岩波と書いてあったのがやけに目立ったなと(笑)。

Q 大会の目標は?

今日の映像で、僕の目標は15連勝でメダルを取るというものだったと思います。一次予選3連勝、最終予選の6連勝で今、9を積み重ねていますけど、あと6つ勝てばで15で、そうなれば金メダル。最低でも金メダルを目指さなければ、どう(銅)にも引っかからないと。どう(銅)にもこうにもなくなるというね(笑)。だからこそ、一番上のメダルを目指してやりたいなと思います。

Q 最終予選が終わってから新たなメンバーを加えるより、これまでのまとまりを重視した構成とした?

まるで昨日のミーティングを盗み聞きしていたような質問ですね。本当にいろんなことを考えました。新しいメンバーもトゥーロンで試して、清水のキャンプにも呼んで、可能性を探り続けて、そのなかで選手たちの評価をスタッフとしてきた時に、そういう話も出ました。「結局、最終予選のメンバーだよね」って、話している内にあとから気づいた話でしたよ。いいところに気づきました(笑)。

Q 韓国代表はオーバーエージが海外組で、本気で金メダルを狙うブラジルも37歳のGKが入った。日本には世界の修羅場をくぐっている選手がほとんどいない。これからどうやって経験のない選手にムチをいれていくのか?

修羅場を、日本の国としてそう簡単にくぐれるのかというね。だからこそ与えないといけない選手がまだまだいると思っています。僕は日本のサッカーのこれからの勝負はロシアワールドカップにくるだろうなと。それに対し、若い世代と、それに可能性を持って欲しいこの3人、ぜひリオ五輪を修羅場にしてほしいなという考えでこのメンバー構成にしました。僕は修羅場を経験していないことは、このメンバーを見ていっさい考えていなくて、ぜひ修羅場を通らせたいという思いが強かったので。この大会を経験したメンバーが間違いなくロシアへその修羅場を運んでくれるだろうと思います。

ライター/編集者

大学卒業後、フリーライターとして活動しながらIT会社でスポーツメディアに関わり、2006年にワールドカップに行くため完全フリーランスに。浦和レッズ、日本代表を中心にサッカーを取材。2016年に知人と会社設立。現在は大手スポーツページの編集業務も担い、野球、テニスなどさまざまなスポーツへの関与が増えている。

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