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園遊会で手紙を手渡したら処分に辞職?

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

<追記>宮内庁の報道室に「陛下の手紙を手渡されたお気持ち」について質問したが、コメントはさし控えさせてくださいとのことであった。

</追記>

山本太郎参議院議員が、秋の園遊会で天皇陛下に、原発に関する文書を手渡した事で処分が検討されている。

山本太郎参院議員、天皇陛下に手紙渡す 秋の園遊会で

http://www.asahi.com/articles/TKY201310310216.html

山本太郎議員「陛下の政治利用ではない」 記者団に語る

http://www.asahi.com/articles/TKY201310310374.html

山本氏「原発労働者の劣悪環境知ってほしかった」

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131031/plc13103118440016-n1.htm

いろいろと取り上げられているが、今回のどこが問題かを考えなければならない。

そもそも、園遊会とは、

毎年,春と秋の2回,赤坂御苑で開催され、政治家や各界功労者とその配偶者約2000名を招き、親しくお話になる場である。

宮内庁 園遊会

http://www.kunaicho.go.jp/about/gokomu/kyuchu/enyukai/enyukai.html

そこで、手紙を手渡したことが問題視されている。

かつて、アーティストの方が筆を陛下に献上されたこともあるので、手渡しすることが禁じられている訳ではない。問題は手紙であることか、国会議員であることの2点である。

手紙を手渡ししたところで、読むか読まないかは陛下の判断である。

もし、手紙が直接でなく、郵送であれば問題にならなかったであろう。陛下に年賀状を出して問題になった国会議員はいない。なぜ、手渡しは失礼にあたるのだろうか?

それを国会議員が行うことで、異常に問題視されている。

「あれはないよな」安倍晋三内閣総理大臣

「国会議員としてあるまじき行為」脇雅史自民党参議院幹事長 

「皇室の政治利用になりかねない」石井啓一公明党政調会長

「議院の対面を汚した」場合は処分対象 参議院規則

「礼儀にふさわしいかどうかは自信で判断すべきだ」菅義偉官房長官

「日本の国民であれば法律に書いていなくてもやってはいけないことは分かる」橋下徹大阪市長

「常軌を逸した行動だ」古屋圭司国家公安委員長

「皇室へのマナーとして極めて違和感を覚える」新藤義孝総務相

惨憺たるコメントが続く。陛下にハグしたわけでも、肩をたたいたわけでもない。紙きれを渡し、陛下もそれを受け取られたのだ。

手紙一枚で、政治利用されるような陛下でもない。

園遊会は「親しくお話になる場」である。そこに参列することにより、モチベーションをあげてもらう特別な場である。陛下はそこに象徴としてのお勤めで労をねぎらってくださる場だ。

そこで、一介の新人国会議員でも、国民の信託を担った代表が、直接、議員として知り得た情報を個人的にお伝えしたにすぎない。

これは、「手紙を国会議員が陛下に手渡した」だけで終わらず、「新人国会議員が陛下に、しかも原発の個人的な見解を申し入れた」と読み取ったほうがいいだろう。

そうすると、上記のコメントは、単なる陛下への問題ではなく、山本太郎バッシングに思えて仕方がない。

肝心なのは陛下のお気持ちではないだろうか?

宮内庁のコメントをうかがわないと、山本太郎バッシングばかり目につく。

ただいま、宮内庁広報の確認電話待ちだ。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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